研究課題/領域番号 |
21H03588
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
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研究分担者 |
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
森 宙史 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 准教授 (40610837)
米澤 隆弘 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (90508566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 古代DNA / アイスコア / シアノバクテリア |
研究開始時の研究の概要 |
寒冷環境に適応した特殊なシアノバクテリアが氷河上で増殖し,雪氷表面を暗色化することが,現在世界各地で進む氷河縮小の大きな要因となっている.現在の種が過去どのように生息域を拡大してきたのかや,最終氷期以降の気候変動に対するシアノバクテリアの群集構造や集団動態の変化はわかっていない.本研究では,過去の環境情報を保存したタイムカプセルであるアイスコアに着目し,過去2万年間の雪氷性シアノバクテリアの時系列ゲノム解析を行う.
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研究実績の概要 |
寒冷環境に適応した特殊なシアノバクテリアが氷河上で増殖し、雪氷表面を暗色化することが、現在世界各地で進む氷河縮小の大きな要因となっている。低温環境のためDNAが高度に保存されているアイスコア試料から古代 DNAを解析することで、最終氷期以降の気候変動に対するシアノバクテリアの群集構造や集団動態を解明することを目的としている。 中央アジアキルギス天山から掘削されたアイスコア試料を用いてDNA分析をおこなった。アイスコア試料表面に付着した微生物の混入を防ぐため、これまで独自に開発したアイスコア融解装置を用いて、クリーン環境下で試料内部のみを採取した。アイスコア中に含まれる微生物は極めて少なく、また非常に短く断片化している。そのため市販試薬によるDNA抽出が不可能であることから、開発した微量・短鎖DNAに特化したDNA抽出手法を用いてアイスコアからDNAを抽出した。 16S rRNA遺伝子やITS2領域のアンプリコンシークエンス解析およびショットガンメタゲノム解析を行った結果、約8000年前のアイスコアから、現在の氷河上で生息するシアノバクテリアの遺伝子配列が多く検出された。系統解析の結果から、現在の氷河に生息している糸状性氷河シアノバクテリアであること分かり、当時の氷河微生物がアイスコアに保存され、当時の環境を復元できる可能性が示唆された。さらに、アイスコアと現在の氷河表面に生息しているシアノバクテリア種を比較した結果、当時と現代の氷河環境の違いを反映している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アイスコア試料からDNA抽出、ゲノムライブラリーの作成およびゲノムシークエンスをおこない、メタゲノム解析をおこなった結果、当初想定していた手法では断片化された極微量の古代DNAを高収率で精製、遺伝子増幅できないことが判明した。そのため、アイスコア中の断片化した微量DNAを解析する技術の開発を進め、とりわけコンタミネーションを抑えながら高収率なDNA抽出手法および短鎖ライブラリー構築手法の実験や、古代DNA配列からの系統組成と遺伝子機能組成を推定するための先端的プロトコールの確立を重点的におこなった。 クリーンルーム内にて氷試料内部のみを無菌的に採取した。構築した新たな手法を用いて、無菌的なDNA抽出をおこなった。16S rRNA遺伝子やITS2領域のアンプリコンシークエンスおよび、ショットガンメタゲノムライブラリーを作成して、次世代シーケンサーによるゲノム配列の取得、およびゲノム情報解析による微生物解析をおこなった。
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今後の研究の推進方策 |
中央アジアキルギス天山から掘削されたアイスコア試料を用いて、最終氷期以降を主要な分析範囲年代として、約10サンプルの時系列試料からDNA解析をおこなう。アイスコア試料表面に付着した微生物の混入を防ぐため、これまで独自に開発したアイスコア融解装置を用いて、クリーンルームにてアイスコア試料内部のみを無菌的に採取する。構築した微量・短鎖DNAに特化した手法でアイスコアからDNA抽出、ゲノムライブラリーの作成をおこない、イルミナ社の次世代シークエンサーを用いてゲノム配列の取得をおこなう.シークエンスした古代メタゲノム配列データを、現生の細菌の約28万株のゲノム配列データに対してBWA-MEM等を用いて高速に配列類似性を検索し、近縁な系統及び遺伝子機能の推定を行う。 さらに、約160万サンプルの様々な環境由来のメタゲノムデータと環境情報を統合したデータベース MicrobeDB.jpとそれら大量のメタゲノムデータを探索可能なWebアプリケーションLEAを用いて、アイスコアから見つかった細菌系統が由来した環境を推定し、時系列試料それぞれで各細菌の環境情報を集計し当時の環境を推定する。また、コアレスセント理論に基づいた集団動態モデルを構築し、最尤法によりパラメーター推定とモデル選択を行うことで群集構造の変遷史の解明を目指す。
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