研究課題/領域番号 |
21H03635
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64020:環境負荷低減技術および保全修復技術関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永長 久寛 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (90356593)
|
研究分担者 |
宮脇 仁 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (40505434)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
|
キーワード | 触媒 / 炭素材料 / マイクロ波 / 複合酸化物 / 吸着 / 触媒酸化 / 複合金属酸化物 / 揮発性有機化合物 / 汚染物質除去 |
研究開始時の研究の概要 |
工場、事業所から排出される低濃度のVOCの処理の高効率化は環境保全の観点から喫緊の課題である。本研究では、炭素系材料とペロブスカイト型酸化物触媒の高いマイクロ波加熱特性を生かし、低濃度のVOCの吸脱着と濃縮、酸化分解過程を速やかに進行させる高効率VOC分解プロセスを開発し、その有効性について実証する。VOC吸脱着特性とマイクロ波加熱特性に寄与する炭素系材料の物性、マイクロ波加熱下でのVOC分解活性を支配するペロブスカイト型酸化物の物性を制御し、シングルモード、マルチモードマイクロ波リアクタでの機能を精査する。小規模のVOC発生源に対応できるVOC分解プロセスの構築に必要な基盤技術を確立する。
|
研究実績の概要 |
工場、事業所から排出される低濃度の揮発性有機化合物(VOC)の処理の高効率化は環境保全の観点から喫緊の課題である。本研究では、炭素系材料とペロブスカイト型酸化物触媒の高いマイクロ波加熱特性を生かし、VOCの吸脱着と濃縮、酸化分解過程を速やかに進行させる高効率汚染物質処理プロセスを開発し、その有効性について実証する。 今年度はCo-Cu-Mn複合酸化物(CoxMn1-xCuOy)を用いて、マイクロ波照射下でベンゼンの触媒的酸化反応を行った。Co/Mn比の異なるCo-Cu-Mn複合酸化物では、主にスピネル型複合酸化物が形成され、MnサイトがCoで置換されていることが確認された。Co/Mn比の増加に伴いマイクロ波照射下での触媒の加熱特性が単調に増大し、Co/Mn比2/3で最も高いベンゼン酸化活性を示した。Co0.4Mn0.6CuOyの事前吸着と熱酸化プロセスを組み合わせることで、マイクロ波の急速加熱による低濃度のベンゼン酸化活性が向上した。 Co置換Cu-Mnスピネル酸化物の合成と特性評価を行い、ベンゼン酸化触媒の性能を評価した。三元系酸化物ではスピネル相とMnサイトのCoによる置換が確認された。Co0.2Cu0.8MnOyは、三元酸化物の中で最も高い活性を示し、見かけの活性化エネルギーは最も小さかった。Co置換による触媒特性の向上は、格子酸素の活性化、ベンゼンの強力な吸着、比表面積の拡大などに起因するものと考えられる。また、密度汎関数理論シミュレーションにより、Co置換が格子酸素の反応性を向上させることが明らかになった。吸着・活性化したベンゼンが格子酸素と反応して豊富な酸素欠陥を形成し、これがO2の吸着・解離を促進し、触媒活性の向上に寄与している。また、水蒸気が触媒によるベンゼン酸化に及ぼす影響も明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的であるマイクロ波援用加熱プロセスにおいて、吸着剤との組み合わせにより、効率良く揮発性有機化合物の昇温酸化が進行することを見出しており、本研究の当初の目的を達成しつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに触媒材料と炭素吸着剤の改良により、さらなる触媒反応プロセスの効率化を図る。
|