研究課題/領域番号 |
21H03704
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
日下 渉 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (80536590)
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研究分担者 |
伊賀 司 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(国際開発), 特任准教授 (00608185)
佐々木 拓雄 久留米大学, 法学部, 教授 (10461469)
片岡 樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (10513517)
清水 展 関西大学, 政策創造学部, 客員教授 (70126085)
田村 慶子 北九州市立大学, 法学部, 特別研究員 (90197575)
西尾 善太 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(PD) (30911820)
金 悠進 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (20885975)
白石 奈津子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (90875460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 東南アジア / 自由民主主義 / 新興中間層 / 道徳政治 / 文化 / 新自由主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、21世紀にはいって各国の自由民主主義が不安定化し、権威主義的な政治が台頭してきている理由を、東南アジアの事例から明らかにしようとするものである。その際、本研究は、急速な近代化と経済成長のなかから形成された新興中間層の政治意識が、この政治変動と関連しているのではないかとの仮説を立てている。20世紀に形成された中間層が、国家主導の開発主義によって受動的に形成されたのなら、21世紀に台頭した新興中間層は、グローバル化、新自由主義化、IT化のもと、自らの個人的な責任・規律・勤勉によって一定の社会上昇を果たしてきた。彼らが、特定のポピュリズムや社会運動と共鳴する理由を、内在的に明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、21世紀にはいって各国の自由民主主義が不安定化し、権威主義的な政治が台頭してきている理由を、急速な近代化と経済成長のなかから形成された新興中間層に着目して、東南アジアの事例から明らかにすることである。今年度は初年度であり、また新型コロナウイルスによるパンデミックに伴い海外渡航の制約も厳しかったため、文献研究を中心に行った。 第一に、21世紀における民主主義の後退に関する理論研究では、情報通信技術を中心とするグローバルな経済構造のもと凋落する中間層がポピュリズムの支持基盤になっていることを指摘するものが多いが、研究代表者の専門とするフィリピンなど新興国ではむしろ台頭する中間層とポピュリズムとの共鳴が重要であるとの知見を得た。第二に、海外移民、コールセンター労働者、国際海運に従事する船員、再定住を強いられた都市貧困層など、新時代のフィリピン人を対象にしたエスノグラフィーを読み込んでいき、ミシェル・フーコーのいう「新自由主義の統治性」が、社会階層を上昇しようとする多様な人びとに広範に作用していることを理解した。第三に、急激な近代化と社会変容が進んだため、新自由主義の主体性だけでなく、地縁・血縁に基づく相互扶助を重視する以前からの主体性や、そこから抜け出して近代的な自立を求める主体性も併存しており、それが政治や日常におけるコンフリクトの一因になっていると分かった。 こうした理論研究とフィリピン事例研究をもとに自らの研究を進め、オンライン研究会で報告を行い、他の諸国を専門とする分担者から、それぞれの国における状況などについて有意義なコメントを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスのパンデミックに伴う海外渡航や海外調査の制限がまだ強かったため、初年度のフィールド調査を行うことはできなかった。他方、腰を落ち着けて文献研究に専念できたので、進捗状況の遅れは今後挽回できる程度である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、今年度の文献研究を通じて得た知見をもとに、海外フィールド調査を行い、現場や人びとの実態について調査を進めていくことである。また、研究分担者が各地で行った調査結果を持ち寄り、研究会での意見交換を通じて、より一般的な仮説を構築していくことも試みたい。
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