研究課題/領域番号 |
21H03728
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 真理子 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 特任准教授 (50724746)
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研究分担者 |
川面 充子 宇都宮大学, ダイバーシティ研究環境推進本部, 特任助教 (30842067)
堀 千鶴子 城西国際大学, 福祉総合学部, 教授 (40316865)
須賀 朋子 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (50743085)
安部 郁子 福島大学, 人間発達文化学類, 特任教授 (60899657)
小口 恵巳子 茨城女子短期大学, その他部局等, 教授 (90456278)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 婦人相談員 / 専門性 / 労働 / 公的相談支援 / ジェンダー / 女性支援 / 売春防止法 |
研究開始時の研究の概要 |
婦人保護事業の三機関(婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設)の一つである婦人相談員の専門性や労働条件については、これまで深く議論されることはなかった。これは婦人相談員が日本的特殊性のもと少数者の問題として等閑視されてきたことに起因している。 本研究では、公共部門の相談支援の最前線にいる婦人相談員の全国実態調査を実施し、その現状と課題を明らかにする。支援論や制度論では議論されてこなかった婦人相談員の非正規労働問題を複合的視点から点射し、公的相談支援に携わる婦人相談員の専門性や労働論を明示する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、婦人相談員の活動、専門性、労働状況を把握するために、全国の婦人相談員に対して、量的調査を実施した。全国の婦人相談員が配置されている都道府県、市区の担当部署279ヵ所に調査票を配布した(全調査票配布数:1500件)。調査票の回収数は586件、回収率は39%であった。 婦人相談員の位置付けや業務内容、労働や研修状況等について、調査結果を単純集計結果と自由回答記述に分けて分析手法を検討し、解析及び考察を行った。 調査によると、婦人相談員の基本属性は40 歳代から60 歳代の中高年層の女性が主な担い手であり、約8割が非常勤職、平均勤務年数は約6年であった。「社会福祉士」等の資格を保有している割合が他の資格に較べて多い結果となった。約8割の婦人相談員が1年ごとに契約更新をしており、2021年度の報酬額の月額平均は20万円未満が全体の約6割を占めていた。また、婦人相談員として行う業務上の困難を感じているものが複数おり、5割以上が心身の負担を感じていた。他方、約9割がやりがいを感じ、約8割が婦人相談員の業務に満足しているという回答であった。これらの結果からは、婦人相談員の仕事に対する意欲の高さや熱心さを垣間見ることができる。婦人相談員にとって有用だと思われる研修への参加状況では、約9割の婦人相談員が、公費で国や都道府県、所属機関の実施する研修に勤務時間内に受講していた。一方で、約2割の婦人相談員が新任研修を受けたことがないという結果であった。 上記を含めた婦人相談員調査の基礎的集計結果を分析し、報告書を刊行した。量的調査結果を踏まえて、質的調査法の基礎的検討と設計を行った。また、了承を得た一部の調査参加者に質的調査を行うため、調査の設計及び調査行程について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
婦人相談員に対する初の全国実態調査を実施し、調査結果の解析を進め、報告書をまとめた。量的調査の自由回答記述結果の分析を行うとともに、次年度に速やかに質的調査を実施するための準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度に作成した全国婦人相談員調査の報告書を調査参加者および自治体等関係者に還元し、広く社会に周知する。また、量的調査の補足調査を実施し、調査結果の解析を進め論文を投稿する。さらに、全国各地の婦人相談員に対する質的調査を実施する予定である。
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