研究課題/領域番号 |
21H03753
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
雨宮 邦招 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究グループ長 (60361531)
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研究分担者 |
越川 博 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹技術員 (00354936)
清水 雄平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (90828005)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 暗黒シート / イオンビーム / 光吸収体 / 黒体 / 極低反射率 / 光閉じ込め構造 / 極低反射 / 平面黒体装置 / 放射率 |
研究開始時の研究の概要 |
光反射率0.1 %以下の黒体材料は、光の制御・利用で幅広い需要があるが、従来の黒体材料は損傷しやすく一般環境で使用できない。一方、高エネルギーイオンビーム加工により、微細な表面凹凸構造(光閉じ込め構造)を形成した「暗黒シート」は、耐久性もあり、紫外線~可視光~赤外線の全域で光反射率は0.5 %以下である。熱赤外線域では反射率0.1 %以下であり、可視光でも理論上は反射率0.1 %以下を達成可能である。本研究では、これまで暗黒シートの可視光反射率低減を制約してきた要因を抑制することで、光反射率0.1 %以下の高耐久・大面積な「完全暗黒シート」を開発する。
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研究成果の概要 |
世界一黒く、接触耐性も併せ持つ素材「至高の暗黒シート」を開発した。漆類似成分のカシューオイル樹脂は鉄錯体にするとポリマー自体が黒くなり、顔料粒子が存在しないためにMie散乱がほとんど生じないことを見出し、イオンビーム加工をベースに作製した微細な表面凹凸構造「光閉じ込め構造」をカシューオイル黒色樹脂上に転写して表面反射を抑制することで、ぎらつき(鏡面反射)もくすみ(散乱反射)も極めて少ない深い黒「至高の暗黒シート」が得られた。半球反射率は0.1 %未満(光吸収率99.9 %超)であり、従来の接触耐性のある超黒素材と比べて1~2桁も低かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「至高の暗黒シート」の光閉じ込め構造はイオンビーム加工による型に基づいて繰り返し転写製造できるため、今後の大面積化・量産化が期待される。また、暗黒シートは触っても性能が損なわれにくいため、取り扱いも容易である。この至高の暗黒シートにより、明るい場所でも沈む圧倒的な黒さを実現でき、背景の映り込みを防止できるため、視覚表現にこれまでになく高いコントラストを提供可能である。将来的には光の乱反射を極力抑えたいプロ用途だけでなく、身近な場面も含め、光制御・利用技術の格段の性能向上に貢献し得る。
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