研究課題/領域番号 |
21H03755
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80040:量子ビーム科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
松本 哲郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70415793)
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研究分担者 |
堀 順一 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (30362411)
増田 明彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70549899)
黒澤 忠弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 室付 (90356949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | 電流モード中性子検出器 / 中性子ガス検出器 / BNCT / ダイナミックレンジ / トレーサビリティ / ガス検出器 / 指頭型電離箱 / 電流モード / ホウ素中性子捕捉療法 / 中性子飛行時間 |
研究開始時の研究の概要 |
加速器ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)において、施設ごとに異なる中性子特性を統一的な基準で測定できる技術の確立が必要とされている。本研究では、校正施設とBNCT施設の4~5桁の中性子強度の違いをつなぐことが可能な大きなダイナミックレンジを持った中性子検出器の開発を行う。その方法として電流モード中性子ガス検出器を開発する。電流モード検出器の課題であるn-g弁別、測定で生成される水素成分の影響などを明らかにし、校正施設からのトレーサビリティに必要な測定技術を確立する。
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研究実績の概要 |
ホウ素中性子捕捉療法で利用される10^9 cm^-2 s^-1以上の熱外中性子が測定でき、かつ一般的な中性子場の強度である10^4~10^5 cm^-2 s^-1のフラックスの熱外中性子が測定できる検出器として、指頭型電離箱形式の中性子用ガス検出器を設計、試作した。検出器は、10mm直径、10mm長さ程度のチャンバー内に中心電極となる針が突き出ている構造である。電場を安定させるリング電極の追加し、ガスを封入できる構造にしている。試作品として、中心電極に電圧を印加する方法と、チャンバーの外側に電圧を印加する方法の両方ができるようになっている。チャンバー内に、窒素ガスのみを充てんして、医療用電子ライナックを用いた治療レベルの光子の測定をした結果、照射線量と出力電流の妥当な比が得られた。チャンバー内に1気圧の3Heガスと0.2気圧の窒素ガスを充てんして、京都大学複合原子力科学研究所の電子ライナックを用いたパルス白色中性子源を用いた中性子飛行時間実験を行った。パルスモードでの実験の結果、熱中性子、熱外中性子部分を明確に観察することができた。一方で、電流モードでは、外側電極に電圧を印加し、暗電流を抑制できる条件で測定したところ、顕著なS/Nを得ることができない極めて小さな出力であった。今後、窒素ガスに代えてアルゴンガスもしくはクリプトンガスなどの重い希ガスを充てんすることによって、出力電流を増強できるものと考えられる。来年度、ガスについてシミュレーションと実験によって最適な組み合わせを探し、出力の安定度、定量的な考察のため産総研の中性子標準場における試験を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度のコロナの状況により、実験回数の制約や物品の納品の遅れが生じて、1年目に実施すべき内容は、少し不十分であった。ただし、計画の微調整によって今後予定していた研究を推進できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
電流モードで測定した際のガンマ線バックグランド引き去り手法の確立、ガスのリークに起因する感度の安定性測定、大強度中性子照射による特性の変化の調査を行い、ホウ素中性子捕捉療法の現場にトレーサビリティを確立するための検出器として利用できるものする。感度についても、シミュレーションと実験の両面から評価を行う。
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