研究課題/領域番号 |
21H03767
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
|
研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
深津 裕子 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (20443145)
|
研究分担者 |
佐々木 成明 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (60350245)
ヲノ サトル 多摩美術大学, 美術学部, 教授 (20407836)
勝又 公仁彦 京都芸術大学, 芸術学部, 准教授 (10897523)
伊藤 俊治 京都芸術大学, その他の研究科(大学院), 教授 (00223165)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 文様 / 近代日本のデザイン / アーカイヴ / 装飾芸術 / デザイン / 東西交流 / データベース / アート / 文化交流 / 芸術資源 / 東西文化交流 / 近代日本 / 図案 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本と世界を繋ぐ文様デザインアーカイヴを創造し美術教育を推進する。文化の諸相を「文様という人間が創造したヴィジュアルイメージ」により検証し、その成果で文様デザインアーカイヴを構築し、新たな創造による芸術作品やデザインを導き出す研究を目指す。シルクロードの東の終着点である日本が、東西文化交流を礎に構築してきた芸術資源のデザインの源泉を明らかにし総合的に研究することで、文様のロードマップをデザインするとともにアーカイヴに集約する。そして先端メディア技術を活用した新たな文様を創造する文様アプリを開発し、大学の高等教育のみならず広く社会で活用しアート及びデザイン教育に寄与する。
|
研究実績の概要 |
本研究では、日本と世界を繋ぐ文様デザインアーカイヴを創造し、アート&デザイン教育を推進する事を目的としている。シルクロードの終着点である日本が東西文化交流を礎に構築してきた芸術資源のデザインの源泉を明らかにし総合的に研究する事で、文様のロードマップをデザインするとともに、アーカイヴに集約する。 初年度は、日本を中心とした文様調査に着手し諸研究機関での資料調査を行うとともに多摩美術大学が所蔵する古いアナログ資料のデジタル化を行ない、成果としては学術論文1本、文様映画3本を制作した。 2022度は、デジタル化した資料のデータベース化・文様調査・文様アプリケーションを活用した作品制作・文様関連資料展示・資料収集・教育普及を推進し、学術論文・著書・作品の発表、文様アプリ作品制作などを実施した。文様調査は、日本国内では北海道のオホーツク文化と縄文およびアイヌ・日光東照宮(栃木県)・香取神宮(千葉県)の建築装飾文様、寺社建築装飾及び祭礼装飾(京都)、MIHO MUSEUMでの中央アジアに関する展覧会での装飾文様(滋賀)、東京国立博物館(東京)で開催された琉球展、沖縄本島・八重山諸島の建築装飾と祭礼(沖縄)における調査を実施した。海外では韓国ソウル市内の研究機関や近郊の文化施設で文様収集を実施した。文様アプリケーションでは、唐草文様を自動生成しヴァーチャルリアリティ空間で体験できるような作品のヴァージョン1を制作した。多摩美術大学美術館の企画展「テキスタイルの力」展ではテキスタイルの文様関連の解説に協力した。資料収集では、着物研究家が収集した着物関連資料の収集を行い、100余点の着物・帯・古裂の収集、壁紙会社が所有した壁紙見本帳1冊、龍村織物名物裂60点を収集した。教育普及として研究者らが大学で開講する授業において研究成果の一部を教材とし、文様装飾を実践するワークショップを展開し学術研究を教育の現場で活用した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は国内調査を中心に実施し文様装飾を収集し、海外調査は感染症による渡航制限が緩和した11月以降に韓国で実施した。国内調査を重点的に実施したことで、2023年度に予定している海外調査による東西文化交流の関係性について比較するための基礎資料を準備することができた。 また唐草文様については、近代日本の唐草文様を視点に時代を遡る形で調査研究を進め、学術論文にまとめると同時に、文様アプリケーションにおいても2021年度から検証してきたさまざまな基礎的なデザインと課題に取り組み、VR空間で唐草文様の誕生から朽ち果てるまでをデザインした体感型作品の第一ヴァージョンを制作することができた。2023年度はさらにアプリケーションのヴァージョンアップを試み、音響効果についても精査していく予定である。本研究では、大学附属美術館の展覧会にも協力しながら文様装飾について広く一般にも紹介するような展示解説や記録集を制作することができた。そして、研究者らが実施する文様収集の手法を大学の授業でワークショップや課題として導入しながら、文様=デザインの創造性を学生と共有し、創作意欲に繋げ、その成果の一部を教育成果集としてまとめた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、これまでに国内で得られた近代日本から縄文までの文様資料を基礎資料として、海外の装飾文様との比較調査を実施し、東西交流の側面から考察を進める。 まず2022年度に調査を実施した韓国で収集した文様装飾から取り掛かり、周辺諸国へと調査の対象を広げる予定である。2023年度はインドや台湾、タイ等での調査を行い日本の仏教装飾との比較やヒンズー教の特徴的な文様装飾についても調査する予定である。 また可能であれば中国本土での現地調査を希望するが、併行して台湾など周辺地域における漢民族の調査も視野にいれながら進めたい。収集した資料についてはデジタルアーカイヴにデータベースとして記録していく作業も進めていく。 唐草文様のアプリケーションをVR空間に展開した作品をさらにヴァージョンアップする。合わせて大学生の参加を募り体験に基づく評価を求め改善点を検討し、最終年度である2025年度まで毎年の研究成果を加えながらアプリケーションのヴァージョンを更新してゆく。
|