研究課題/領域番号 |
21H03782
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90030:認知科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
寺田 和憲 岐阜大学, 工学部, 教授 (30345798)
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研究分担者 |
山田 誠二 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 教授 (50220380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 認知科学 / アフェクティブコンピューティング / 感情 / 心の理論 / 利害対立解消 / 協力行動 / ベイズ推論 / ゲーム理論 / 社会的ジレンマ / 利害対立 |
研究開始時の研究の概要 |
日常生活では,外食時の行き先決定や中古車の売買交渉など法的,数理的に解決が困難な利害の対立がしばしば起こる.利害の対立解消に感情表出が効果的であることが知られている.例えば,怒りは相手から譲歩を,喜びは協力を引き出し,後悔は関係修復を可能にする.この過程では,表出された感情から,相手の感情状態ではない,意図や信念,選好などの心的状態を推定しなければならない.本研究では,心的状態と感情表現に関して人が持つ数理モデルを心理実験によって獲得し,そのモデルを用いたベイズ推論によって人が他者の心的状態を推定し,利害対立を解消していることを検証する.
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研究成果の概要 |
本研究では,人が,心的状態と感情表現に関する生成モデル(Appraisal Model)を尤度関数としてベイズ推論によって,他者の心的状態を推定し,利害対立を解消していることを検証した.検証では,囚人のジレンマ,複数論点最後通牒ゲーム,集団的リスクジレンマなどのゲーム理論的課題を用い,コンピュータシミュレーションおよび人を対象とした実験を実施した.その結果,社会的価値志向性(SVO)理論,個人の選好と限界を表現する多次元効用関数,複数エージェントの感情に基づく生成モデルの妥当性が明らかになった.また,これらのモデルを用いた心的状態推論によって,人が実際に利害対立を解消していることが確認された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究成果の学術的意義は,感情表出と心的状態の関係を定量化し,ベイズ推論による意図推定プロセスを解明したことで,人の協力行動および利害対立解消を下支えする認知,感情メカニズムの計算論的理解とそれに基づく複雑な社会的相互作用のモデル化が可能となったことにある.社会的意義は,トレーニングプログラムによる対人スキルの向上,集団間の対立や社会的ジレンマの解決に対する人認知を考慮した新たなアプローチの設計,より自然で協力的な人-AI相互作用の設計に応用できる基礎的な知見を提供し,社会に実在する利害対立を実際に減らすことができる可能性を提示したことにある.
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