研究課題/領域番号 |
21H03791
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 希美子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (00323618)
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研究分担者 |
安藤 譲二 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (20159528)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 血管内皮細胞 / せん断応力 / ミトコンドリア / ATP / メカノバイオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
細胞や組織が環境に由来する力学刺激を感知して反応する事は、その機能や生存に極めて重要であるが、力学刺激を感知する仕組みは十分解明されていない。本研究では、血管内皮細胞が血流に起因する剪断応力を感知して情報伝達する新しい分子機構として、ミトコンドリアの活性化に焦点を当てた解析を行う。内皮細胞に剪断応力が作用すると、細胞外へATPが放出し、P2X4受容体を活性化することでカルシウムシグナリングが起こる。最近、剪断応力がミトコンドリアでATPを即座に産生し、細胞外へのATP放出が亢進する事を発見した。そこで、細胞膜に作用する剪断応力が細胞内小器官のミトコンドリアを活性化する分子機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、血管内皮細胞(EC)が形質膜とミトコンドリア膜の脂質分子の配向性を変えることにより、せん断応力を感知し、ミトコンドリア機能が顕著に変化する事を明らかにした。培養ヒト大動脈ECに流れ負荷装置で層流又は乱流を負荷すると、細胞膜脂質分子の配向性は層流に対して減少し、乱流に応答して増加した。また、層流ではミトコンドリアの膜の脂質の配向性が減少した一方で、乱流では増大し、ミトコンドリアにおいて、層流ではアデノシン三リン酸(ATP)の産生が増加し、乱流では活性酸素の放出が増加した。これらの結果から、細胞膜がせん断応力のメカノセンサーとして機能し、ミトコンドリアの機能を変化させることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、血管内皮細胞が血流をどのように感知し、細胞内に情報伝達するかを解明することを目的に、メカノセンサーとしての細胞形質膜とミトコンドリア機能とが密接に関連していることを始めて明らかにした。これまで、ミトコンドリアの活性がメカノセンシング機構に果たす役割を探る研究は殆ど例が無く、細胞内の微細構造とミトコンドリアATPと活性酸素シグナリングのリアルタイム解析を駆使して得られた結果は学術的に意義深い。また、メカノセンサーの本体が、層流が制御する血管系の恒常性維持と、乱流が惹起する血管病の発症の仕組みに果たす役割を解明したことは、血管病の予防や治療の基礎となる知見を与え、社会的意義がある。
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