研究課題
基盤研究(B)
基底細胞は、気道に存在する幹細胞である。基底細胞は、気道を構成しているゴブレット細胞やクラブ細胞、線毛細胞への分化能を有する。そのため、基底細胞は、損傷を受けた気道の組織再生において重要な役目を担うと考えられている。しかし、呼吸器感染症により気道が損傷を受けた際の、基底細胞の役割は十分には明らかになっていない。そこで本研究では、呼吸器感染症において、基底細胞が気道再生に寄与することを明らかにするとともに、その分子機序を明らかにする。
本研究では、COVID-19を含む呼吸器感染症において、基底細胞が気道再生に寄与するか調べるとともに、その分子機序を明らかにすることを試みた。また、基底細胞の複製と分化に関わる因子を特定し、基底細胞を標的とした気道損傷に対する新たな治療戦略を提示することを目指した。ウイルス感染後に基底細胞およびその他の気道上皮細胞がどの程度残存しているか調べた。残存していた細胞の大部分は基底細胞であることを確認した。その後、培養を継続することで、線毛細胞やゴブレット細胞、クラブ細胞も出現することを確認した。したがって、ウイルス感染後の組織修復が基底細胞の増殖と分化が中心となって行われていることを確かめることが出来た。以上の解析により、気道損傷時に基底細胞が組織修復に重要な役割を担うことを示唆することが出来た。2022年度までに同定した増殖因子に関する検討を行った。当該増殖因子を用いてウイルス排除後の気道組織再生を促進できるか検討した。SARS-CoV-2を感染させたヒト気道モデルにおいて気道組織損傷が生じていることを確認したのち、当該増殖因子による気道の組織修復効果を検証した。当該増殖因子の作用により、基底細胞以外の気道上皮細胞(線毛細胞やゴブレット細胞、クラブ細胞)が再生していることを確認した。また、SARS-CoV-2感染前のサンプルとの比較解析を通して、細胞構成比が当該増殖因子の使用の前後でほぼ同じであることを確認した。したがって、当該増殖因子を用いた気道組織再生は、重症呼吸器感染症の治療法の一つになる可能性を秘めていることが分かった。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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