研究課題/領域番号 |
21H03806
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 知久 京都大学, 医学研究科, 准教授 (30321607)
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研究分担者 |
吉原 雄二郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00529464)
赤坂 太 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00883224)
澤本 伸克 京都大学, 医学研究科, 教授 (90397547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 脳内代謝物質 / MRスペクトロスコピー / 超高磁場MR装置 / 病態バイオマーカー / 脳内代謝物 / 超高磁場 / 超高磁場磁気共鳴装置 / 病態フィンガープリント |
研究開始時の研究の概要 |
超高磁場磁気共鳴装置を用いて、患者にも適用可能な実用的脳内化学物質マッピング計測法を研究開発する。興奮性・抑制性神経伝達物質の代表であるグルタミン酸・γ-アミノ酪酸や抗酸化物質のグルタチオンなど脳内化学物質量を診療上実用的な段階へと高める。得られた結果を多物質量の組み合わせ変化として解析するとともに、fMRIなど他のMR計測値を加えたマルチ・パラメトリック解析を実施する。 その成果を脳神経変性疾患・精神神経疾患などに適用し、病態を特徴づけるフィンガープリントを明らかにする。
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研究実績の概要 |
【研究項目1】脳内化学物質マッピング計測法の研究開発では、COVID-19感染症の蔓延で延期した2D-MRSI法の研究開発を実施した。自動での3次までの静磁場シミングに加えて手動で調整することで静磁場の均一性を改善できたことで、脳機能上重要な前部帯状回(ACC)と両側背外側前頭前野(DLPFC)とを含めた3領域のMRS計測を30分以内で高速に撮像可能となった。一方、TEを短縮して得られる信号強度を改善した単一ボクセルでのshort-TE STEAM計測では、従来よりも少ない加算平均回数48回(撮像時間4分32秒)という短時間で安定して撮像可能であり、30分の撮像時間で4部位での計測が可能と判明した。 比較的少量の脳内化学物質の解析では、巨大分子が定量値に大きな影響を与えるため、解析に際してそれらをモデリングする必要がある。そこで、若年健常者と高齢健常者で各17人と13人の巨大分子データを収集した。Voigt関数でのfittingにより、残存する脳内化学物質のピークを除去するとともに個別の巨大分子ピークの化学シフト量とピークサイズの解析を進めた。 計測対象物質の多様化を目的としたグルコースのMRS計測データでは、解析に際して残存する水ピークが影響する。その影響を抑えるために、PPMGAPなどの解析手法を駆使して研究を進めた。 【研究項目2】定量的7T-MRI画像指標による病態評価では、本年度は合計60人の被験者登録を目的としたが、うつ病患者と対照健常者合計54人でACCでのMRS計測を行い、病態を表す脳内化学物質のフィンガープリントの探索を実施した。並行して、神経変性疾患・認知症の募集とPCCでのMRS計測を進めており、目標人数を超える被験者登録・MRSデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究項目1】2D-MRSI法では、脳の辺縁部で静磁場均一性の低下があり、特に濃度が低いGABAやグルタミン、グルタチオンなどの計測では%SDが高めであった。撮像断面内の静磁場均一化操作に要する時間と計測の安定性からは、対象領域を単一ボクセルMRS法で個別に計測するほうが効率的であると考えられた。3-4領域を対象とした撮像でも30分以内で高速に撮像する手法を開発した。 実測データに基づく巨大分子モデリングでは、それ自体だけでなくfittingのbaselineの自由度を規定するDKNTMN値の設定が重要である。Short-TE STEAM用に開発した巨大分子モデルにDKNTMN値を最も自由度の高い0.15からより自由度の低い値へと変化させて解析した結果、GABA、グルタミン酸とそれらの比の全てで、0.3で最も近い値が得られることがわかった(多施設共同研究結果と比較、ISMRM2023:4727)。巨大分子を含めた解析はグルコースの定量計測を改善する可能性がある。そこで3.2-3.9ppm間に複数存在するピークを含めた解析を行ったが、有意と言える定量性の改善は認めなかった(ISMRM2023:3772)。エネルギー代謝を観察する上で重要なグルコースの計測では、昨年度計測した自由水を起点として反対側の計測範囲である5.23 ppmのグルコースピークを対象とした計測がより適切であることが判った。 【研究項目2】定量的7T-MRI画像指標による病態評価では、うつ病患者と対照健常者、および神経変性疾患・認知症と対象健常者とを対比した解析を進めている。特に前者では、MRS撮像方法の影響を考慮して、short-TE SPECIAL撮像法を採用して、この撮像法の開発者であるトロント大学Jamie Near博士との共同研究による比較検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果である撮像・解析法を用いて、昨年度に引き続き【研究項目2】定量的7T-MRI画像指標による病態評価をさらに進める。経変性疾患患者それぞれでMRS撮像症例数を増加させる。解析は、現在投稿中の巨大分子モデルを組み込んで行い、興奮性・抑制性の神経伝達物質であるグルタミン酸・GABA、さらに酸化ストレスの指標となるグルタチオンやタウリンの定量的計測を行うことで、病態やその変化の成因と脳神経化学物質との関係性を解析し、MRS上の特徴を疾患・病態のフィンガープリントとしての解明を進める。 加えて、研究対象を統合失調症や解離性障害、慢性疼痛などにも拡張して、研究の成果を拡大する。神経変性疾患では、アルツハイマー病やパーキンソン病を中心とした疾患を対象とする。 健常被験者と対比するとともに、【研究項目3】マルチ・パラメトリック解析による病態フィンガープリントの解明をおこなうべく、安静時fMRIなどと組み合わせた検討をすすめる。
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