研究課題/領域番号 |
21H03817
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
櫻井 文教 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (70370939)
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研究分担者 |
水口 裕之 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (50311387)
立花 雅史 大阪大学, 大学院薬学研究科, 特任准教授(常勤) (80513449)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 腫瘍溶解性ウイルス / がん微小環境 / 細胞外小胞 / 抗腫瘍免疫 / レオウイルス / 細胞障害性T細胞 / 自然免疫 / ウイルス / がん / 腫瘍内浸潤 / エクソソーム / ケモカイン |
研究開始時の研究の概要 |
癌細胞特異的に感染し死滅させる腫瘍溶解性ウイルスであるレオウイルスは、投与後、免疫細胞の腫瘍内浸潤を促進する。しかし一部の癌では、免疫細胞が浸潤せず、癌免疫による治療効果が期待できない。その克服に向けては、レオウイルスによる免疫細胞の腫瘍内浸潤促進機構を解明し、免疫細胞の腫瘍内浸潤をさらに促進可能な手法を開発する必要がある。研究代表者は、レオウイルスが癌細胞の自然免疫を強く活性化することを見出した。そこで本研究では、レオウイルスによる癌細胞の自然免疫応答が、免疫細胞の腫瘍内浸潤に及ぼす影響を解明する。さらに免疫細胞の腫瘍内浸潤を更に促進可能な新規ウイルス・併用療法を開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、レオウイルスによる癌細胞の自然免疫応答が、免疫細胞の腫瘍内浸潤に及ぼす影響を解明するとともに、免疫細胞の腫瘍内浸潤を更に促進可能な新規ウイルス・併用療法を開発することを目的とする。本年度は、昨年度に樹立したIPS-1ノックアウト(KO)B16細胞に対し、レオウイルスを作用させ、自然免疫応答を評価した。その結果、IPS-1 KO B16細胞ではレオウイルス作用後の自然免疫応答が大きく減弱していた。しかしながら、レオウイルス作用後の細胞生存率については大きな変化は見られなかった。つぎに、IPS-1 KO B16細胞をマウス皮下に移植し、レオウイルスを腫瘍内投与した。その結果、B16腫瘍の成長、および腫瘍内に浸潤した免疫細胞数、各種サイトカインの発現に関して、野生型B16細胞とIPS-1 KO B16細胞との間に有意な差は観察されなかった。従って、レオウイルスによるがん細胞での自然免疫応答は、レオウイルスの腫瘍増殖抑制効果ならびに免疫細胞の腫瘍内浸潤の活性化に対して、大きな影響を及ぼさないことが示された。さらに、IPS-1 KOマウスを用いて同様の検討を行ったところ、こちらに関してもレオウイルスの腫瘍増殖抑制効果ならびに免疫細胞の腫瘍内浸潤の活性化に関して、野生型マウスと比較し有意な違いは観察されなかった。以上の結果より、レオウイルスによる免疫細胞の腫瘍内浸潤誘導には、IPS-1シグナル以外のシグナルが関与することが示された。レオウイルス感染がん細胞由来エクソソームの検討に関しては、エクソソーム内にレオウイルスが内封されていること、レオウイルス内封エクソソームを作用させることで、免疫細胞が強く活性化することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前に関与することを予想したIPS-1シグナルがレオウイルスによる免疫細胞の腫瘍内浸潤促進に関与していないことが明らかとなったことから、今後は他のシグナルの関与に関して研究を進めていく予定である。またレオウイルス感染がん細胞由来エクソソームについては、その自然免疫活性化能や腫瘍増殖抑制効果が明らかとなり、順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はIPS-1シグナル以外の細胞内シグナルについて検討を進めていく。特に、紫外線照射により感染能を欠失させたレオウイルスによる免疫細胞の腫瘍内浸潤促進効果について検討する予定である。レオウイルス感染がん細胞由来エクソソームに関する研究については、静脈内投与後の腫瘍における自然免疫活性化などについて検討を進める予定である。
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