研究課題/領域番号 |
21H03823
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
原田 敦史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50302774)
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研究分担者 |
北山 雄己哉 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (40649745)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 超音波力学療法 / ナノコンポジット / 酸化チタンナノ粒子 / 酸化チタン |
研究開始時の研究の概要 |
超音波力学療法によるがん治療は、非侵襲性であると同時に生体に安全な高周波数の超音波を利用するため副作用が少なく、生体中の減衰が少なく深部腫瘍の治療が可能であることから次世代のがん治療法として注目される。効果的な超音波力学療法を実現するためには、標的がん細胞内に音増感剤を選択的に送達し超音波の感受性を高める必要がある。本研究では、この超音波力学療法に用いる音増感剤のがん特異的ドラッグデリバリーを実現するため、音増感剤である酸化チタンナノ粒子に、高血中滞留性、腫瘍蓄積性、細胞内ミトコンドリア標的能を全て一つに備えた合目的設計によるポリマー/酸化チタンナノ粒子ナノコンポジットを新たに開発する。
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研究実績の概要 |
音増感剤である酸化チタンナノ粒子を腫瘍組織および細胞内ミトコンドリアに送達するための合目的設計に基づくナノコンポジットを開発し、これを用いた音増感剤ドラッグデリバリーシステムを開発することを目的として研究を進めている。今年度は、昨年度までに合成方法を確立した末端に酸化チタンナノ粒子の表面修飾に有効なリン酸基を有するポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)に加えて、PMPCとオリゴエチレングリコール側鎖を有するメタクリレートのブロック共重合体(PMPC-POEGMA)の合成の検討を行い、分子量制御されたPMPC-POEGMAの合成条件を確立した。昨年度合成法を確立したPMPCについては、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテルを加えた酸化チタンナノ粒子分散液と混合することによってナノコンポジットを調製し、その分散安定性と活性酸素種の中でも殺細胞効果が高いとされている一重項酸素生成能の関係を評価した。蒸留水中(低塩濃度条件)と生理食塩水中で分散安定性が異なることから、溶媒中のイオン濃度を変化させることで平均粒径の変化を指標として分散安定性を制御し、分散安定性と超音波照射による一重項酸素生成能を比較すると、分散安定性の高いナノコンポジットが効率よく一重項酸素を生成することが確認された。これは、酸化チタンナノ粒子表面での一重項酸素生成反応が生じていることを示唆する結果である。また、分散安定性を高めたナノコンポジットを培養細胞に播種した後、超音波照射による殺細胞効果をLive-dead assayにより評価したが、効果的な殺細胞効果は認められなかった。細胞取込量や細胞内動態の検証を行うことが殺細胞効果を高めるために必要な条件を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、分散安定化条件の確立に想定以上の時間を要したため、やや遅れている状況が続いている。今年度に関してはおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度が最終年度となるためこれまでの若干の遅れを改善する方策として、培養細胞実験での評価について、殺細胞効果を優先的に進め、効果が高いナノコンポジットを準備でき次第、動物実験に移行し、細胞内動態などの殺細胞効果メカニズムに関する評価は動物実験と並行して進めることで研究全体として進行を加速することを考えている。
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