研究課題/領域番号 |
21H03830
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90120:生体材料学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
川添 直輝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主席研究員 (90314848)
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研究分担者 |
陳 国平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, グループリーダー (50357505)
吉冨 徹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主幹研究員 (20585799)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 足場材料 / 幹細胞 / 細胞増殖因子 / 分化誘導因子 / プログラム制御 / 分化誘導 因子 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「わずかな数の幹細胞から移植可能な大きな軟骨組織を再生するには、いかに足場材料を設計するか」を問いとし、それに答えるため、複合足場材料を用いて幹細胞の増殖・分化をプログラム制御することを考えた。具体的には、初期には細胞増殖因子、後期には軟骨分化誘導因子を徐放することによって、幹細胞の増殖と軟骨分化を同一の足場材料でプログラム制御できる多孔質足場材料を開発する。本足場材料を用いることで、大きな軟骨組織を再生できるようになると考えられる。
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研究実績の概要 |
本年度は、当初計画よりも前倒しで足場材料のin vivo評価を実施した。 ①埋植物の力学測定:PLGA多孔質体を犠牲鋳型としたコラーゲン足場材料(以下、「鋳型法足場材料」と表記)およびコントロール足場材料(犠牲鋳型なし)にヒト間葉系幹細胞(hMSC)をそれぞれ播種し、in vitroで2週間培養した後、ヌードマウスに移植した。2週間後、埋植物を回収し、力学特性を調べたところ、鋳型法足場材料の埋植物は、コントロール足場材料の埋植物よりも高いヤング率を示した。 ②埋植物のDNA、sGAG定量:埋植物のDNA量、硫酸化グリコサミノグリカン(sGAG)量は、2週間の埋植によりともに増加した。鋳型法足場材料では、sGAG/DNA比はコントロール足場材料よりも有意に高い値を示した。このことから、いずれの足場材料もhMSCの増殖を支持するが、特に鋳型法足場材料では細胞外マトリックスの産生をより促進することが示された。 ③埋植物における組織遺伝子の発現解析:埋植物における組織遺伝子の発現レベルをリアルタイム定量PCR法で解析した。鋳型法足場材料の埋植物は、コントロール足場材料の埋植物ともに、コラーゲンII、アグリカン、SOX9、コラーゲンX遺伝子をコードする遺伝子が検出された。 ④埋植物の組織染色および免疫染色:埋植物をヘマトキシリン・エオジン(HE)とサフラニンOでそれぞれ染色した。HE染色像から、鋳型法足場材料では細胞および細胞外マトリックスの均質な分布が認められた。また、サフラニンO染色像から、鋳型法足場材料では軟骨細胞外マトリックスの均質な分布が確認された。また、免疫染色像から、鋳型法足場材料では、コントロール足場材料に比べ、コラーゲンIIとアグリカンが均質に分布していることがわかった。以上より、鋳型法足場材料は、均質な軟骨組織再生に有用であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は前年度までに作製方法を確立した足場材料のin vivo評価を当初計画よりも前倒しで実施した。研究実績の概要に記載の通り、必要なデータを取得でき、順調に進捗している
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に計画していた「マウスを用いたin vivo評価」を本年度に前倒して着手することができたことにより、最終年度は、足場材料の足場材料の設計パラメータおよび作製条件に注力することが可能になった。今後、最適化にあたっては、in vivo評価実験の結果をフィードバックしたいと考えている。
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