研究課題/領域番号 |
21H03859
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
井上 剛伸 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究部長 (40360680)
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研究分担者 |
硯川 潤 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究室長 (50571577)
間宮 郁子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 福祉機器開発部, 研究員 (30455381)
上村 智子 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (80280204)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 支援機器 / ナラティブデータ / 機械分析 / 生活機能 / 機器開発 / 国際生活機能分類 / ニーズ分析 |
研究開始時の研究の概要 |
支援機器開発では,想定ユーザのニーズを過不足無く抽出して要求機能に反映する作業が重要となる.本研究では,ユーザニーズの分析作業をテキストマイニングで機械化するニーズ分析エンジンを提案し,支援機器開発を効率化したい.そのために,ICFのコードを拡充し,コード間の関係性を定義した生活機能ライブラリを新たに構築する.これと既存のテキストマイニング手法を組み合わせ,ユーザ調査で得られたナラティブデータから,ライブラリを基に生活上の課題を構造化して抽出することを目指す.分析エンジン導入の効果は、自助具や情報支援アプリといった開発サイクルの短い機器の開発などで定量的に検証する.
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研究実績の概要 |
1)生活機能ライブラリにもとづくテキスト分析手法の開発と精度評価:認知機能の支援機器開発ニーズの可視化のために,認知症当事者の日常生活上の課題に関するテキストデータを用いて,テキストマイニングを行い,広範な生活支援ニーズの抽出が可能になることを確認した.また,新たなナラティブデータの取得にも取り組み,認知機能支援機器のニーズを抽出するため,リハビリテーション専門職を対象にインタビュー調査を実施した.認知障害を伴う高齢者の支援機器利用に対しては,受け身で積極性に乏しく,導入後のフォロー体制の不足が課題として抽出された.さらに,統合失調症を抱える地域生活者の支援機器開発ニーズを可視化するため,現実世界や友人との接点を保持することを基本に,公表された生活ニーズと対処方法の語り「当事者研究」の代表20例の抽出,キストの切片化,生活機能分類に基づくコード付けを行った. 2)ニーズ可視化手法の開発:テキストデータのニーズ分析のために,大規模言語モデルを利用した対話式の分析支援システムを検討した.自助具形状に関する学習用テキストを用意し,対話による形状生成に適したプロンプトや,生活ニーズに関連した学習用語句リストの導入により,簡易な形状生成を対話型で実現できることを確認できた.また,ユーザの一般性の高いニーズ項目として,やりがいとった心理的な要因に着目し,支援機器分野の研究開発の動向調査を実施した.その結果,やりがい等の要素が内蔵された支援機器の開発や支援機器選定時のやりがい等の評価を通した機器適合の最適化等のニーズが挙げられた. 3)機械学習によるライブラリ拡充:注目単語リストを用いた共起ベクトルを自己組織化マップを用いてマッピングした.リストの各単語には国際生活機能分類のコードが付されており,これにもとづいて分析対象テキスト群に含まれるニーズの傾向を把握できることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
商用大規模言語モデルの出現により,テキストマイニング手法の利活用環境が大きく変わったことを考慮し,当初計画にはなかった手法の導入を検討した.
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今後の研究の推進方策 |
○支援機器開発プロセスによる試用評価:開発したニーズ分析エンジンが,実際の開発プロセスに与える影響を検証する.小規模な機器開発に同エンジンによるニーズ分析を導入し,人力分析を用いた場合との精度差や要する時間の差,仕様への反映のされ方の差などを確認する. 1)開発試行の実施:申請者らが協力関係を確立している自助具の開発に分析エンジンを導入し,それを用いた開発の詳細を記録する.自助具は1件当たり数人への提供を開発の目的とし,分析エンジンの利用効果を確認する.2)開発プロセスの分析:記録されたナラティブデータの質的分析と,開発者へのインタビュー,設計内容の精査などから,ニーズ分析エンジンが与える影響を把握する. ○支援機器評価プロセスによる試用評価:上述よりも大規模な支援機器開発にニーズ分析エンジンを適用し,有用性を確認する.特に,ナラティブデータのソース (ユーザ個人) 間の共通点と差異を判別する作業に着目し,分析結果が分析エンジンの使用でどう変化するかを明らかにする. 1)評価試行の実施:支援機器試作機の臨床評価を実施する企業にニーズ分析エンジンを導入し,対象ユーザから収集したナラティブデータの分析に活用する.2)評価プロセスの分析:前段と同様の分析から,ニーズ分析エンジンが臨床評価エンドポイントの設定に与えた影響を検証する.
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