研究課題/領域番号 |
21H03875
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
1130:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 宮内庁書陵部編修課 |
研究代表者 |
白石 烈 宮内庁書陵部編修課, 主任研究官
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
330千円 (直接経費: 330千円)
2021年度: 330千円 (直接経費: 330千円)
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キーワード | 周旋方 / 国事周旋 / 京都留守居 / 定例集会 / 天下公論 / 公議人 / 公論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、幕末維新期に活動した諸藩周旋方(しゅうせんがた)=“藩外交官”の交流世界の全体枠を解明することである。諸藩周旋方は日本全体に関わる課題を解決するため国事周旋活動に従事し、京都・江戸・大坂などの料亭で会合を開き、水面下の情報収集や政治的交渉を展開していた。歴史上有名な薩摩藩士西郷隆盛や大久保利通も薩摩藩の周旋方の1人と位置づけられる。 本研究では①各地の史料館が所蔵する諸藩周旋方の古文書調査と、②刊行されている周旋方関係史料の分析により、その交流関係や交渉内容を解明し、今後の明治維新研究に際して指標となるべき人物の特定に有意義な情報を提供したいと考えている。
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研究成果の概要 |
本研究成果の概要は、従来不明だった諸藩周旋方の実態について、①50藩以上の藩名・人名・人数が確認できたことに加え、諸藩周旋方が京都で開催した会合参加者氏名が初めて判明したこと(20藩50名)。②約6年間(文久3年(1863)~明治2年(1869))にわたる周旋方構成員が確認でき、さらに幕末期の周旋方経験者で、明治政府が諸藩の意見を聴取するために設けた貢士・公議人を務めるなど、連続して活動していた人物が複数判明したこと。③活動場所について、幕末政治の展開に対応して、江戸・京都・大坂のみならず、内戦(長州征伐)の前線基地にあたる広島や福岡にも諸藩の周旋活動従事者が集合していたことが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでの研究では薩摩藩士西郷隆盛や大久保利通などの一部著名人物のみに関心が集中する傾向があった。しかし、周旋方の存在が確認できる藩名は50藩以上にのぼり、周旋方を務めた人名も300名弱が確認できた。このことによって、今後幕末維新期の政治史に参加していた藩を研究する場合、注目すべき人物が誰なのかを特定できた点は意義ある成果だった。 また、周旋方の活動人名が判明する新出史料を発見したため、当該史料を展覧会「新選組展2022―史料から辿る足跡―」に出陳した。福島県と京都府の会場への来場者数は合計9万9605人にのぼったことから、本研究の成果をより広く社会に発信することができた。
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