研究課題/領域番号 |
21H04130
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
2190:物理化学、機能物性化学、有機化学、無機・錯体化学、分析化学、高分子、有機材料、無機材料化学、エネルギー関連化学、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宍戸 理恵 東北大学, 多元物質科学研究所, 技術一般職員
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
450千円 (直接経費: 450千円)
2021年度: 450千円 (直接経費: 450千円)
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キーワード | TOF-SIMS / イオン化 / 検出感度向上 |
研究開始時の研究の概要 |
飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)は、微小領域に存在する有機分子の分布情報を取得することのできる数少ない分析手法である。具体的には、質量数600程度の分子を50ミクロン角で可視化することが可能である。しかしながら、低質量側の分子と比較して、質量の大きな分子は、その検出感度が2桁以上低い傾向がある。見たい分子を高い空間分解能で可視化するためには、その感度を如何に向上させるかが重要である。 そこで本研究では、これまでTOF-SIMSでは検出することのできなかった中性粒子のイオン化を効率的に促進させる新しい前処理法の確立に挑戦する。
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研究成果の概要 |
TOF-SIMSは、高感度・高空間分解能な分析手法である。しかしながら、本手法では、質量数が大きい分子の場合、イオン化しにくいという難点があり、その検出感度は低質量の分子と比較して2桁以上低下する傾向にある。 そこで本研究では、検出感度の低いリン脂質を評価分子として選定し、そのイオン化を促進させるための新しい添加剤を探索した。具体的には、高いプロトン供給効果を期待できるクエン酸を添加剤として使用した。その結果、クエン酸を混合させた試料では、リン脂質の感度が大きく向上し、未添加の場合と比較して、約400-1000倍の感度向上効果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機分子の可視化技術は、癌や感染症などを調べる細胞診断や組織診断に利用されている。本手法の開発により、TOF-SIMSでは、これまで検出することが困難であった生体分子の高感度分析が可能になった。この成果は、精密かつ迅速な病理診断の実現につながるものと期待され、病理学分野への波及効果は大きいと考えられる。
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