研究課題
奨励研究
肺移植は他の臓器移植と較べてサイトメガロウイルス(CMV)感染症のリスクが高いため,予防的に抗CMV薬のバルガンシクロビル(VGCV)が投与される.CMVの予防には, VGCVが通常1回900 mg1日1回経口投与される.VGCVによる予防投与は有効性を認めるものの,重篤な腎機能障害や骨髄抑制の発現により投与の中止を余儀なくされる症例が報告されている.これらの副作用は,用量依存的に発現頻度が高まると考えられているが,VGCVの副作用と薬物血中濃度との関連については未だ明らかにされていない.本研究では,肺移植後におけるVGCV血中濃度や投与量に着目し,副作用の予測指標としての有用性評価を行った.
バルガンシクロビルは肺移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染予防に対する唯一の薬剤であるが、重篤な骨髄抑制の発現により投与の中止を余儀なくされる症例が報告されている。そのため、重篤な副作用の発現を予測する指標の確立が求められている。本研究では、バルガンシクロビルの活性代謝物であるガンシクロビルの血中濃度に着目し、副作用との関連を調査した。その結果、Grade3以上の副作用が発現した患者では、Grade2以下の副作用が発現した患者と比べて血中濃度が有意に高いことが判明した。以上より、バルガンシクロビル投与に伴う副作用の予測指標として、血中濃度モニタリングは有用であると考えられた。
肺移植は他の臓器移植と比べてCMV感染症のリスクが高く、バルガンシクロビルの予防投与が必要である。一方、バルガンシクロビルによる重篤な骨髄抑制により投与が中断され、その後にCMV感染が疑われている症例も報告されていることから、治療継続性を高めるための安全なバルガンシクロビル投与法の確立が必要である。本研究結果は、副作用発現によるバルガンシクロビル治療継続が困難な症例が減少し、肺移植後のCMV感染防止に大きく貢献すると考えられる。
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