研究課題/領域番号 |
21H04209
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3180:医療薬学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
小玉 菜央 鳥取大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
470千円 (直接経費: 470千円)
2021年度: 470千円 (直接経費: 470千円)
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キーワード | ボリコナゾール / TDM / 自己誘導 / 長期曝露 |
研究開始時の研究の概要 |
抗真菌薬のボリコナゾール (VRCZ)は、効果及び有害事象と血中濃度に関連性を認めるため、治療薬物モニタリング (TDM)の実施が推奨されている。一方、投与量及び血中濃度安定後の定期的なTDMは推奨されていない。 鳥取大学医学部附属病院のVRCZ長期使用患者において、有効血中濃度を維持するために投与量を増量しても血中濃度が上昇せず低下した症例やVRCZとその主要代謝物の血中濃度比に経時的な上昇を認めた症例を経験した。VRCZの長期使用で代謝酵素の自己誘導を生じている可能性が考えられたことから、最もヒト初代肝細胞に近いとされるHepaRG細胞にVRCZを長期間曝露させ代謝能を評価する。
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研究成果の概要 |
本研究の目的はボリコナゾール(VRCZ)長期使用患者の血中VRCZ濃度の低下および血中VNO濃度の上昇が、VRCZの代謝酵素の自己誘導に起因する可能性について検討することである。最もヒト初代肝細胞に近いとされるHepaRG細胞にVRCZを長期間曝露させ、VRCZの代謝に関与する代謝酵素のmRNA発現量を比較した。VRCZ非添加群に比較して10 μg/mLの群ではCYP2C9の発現量が、100 μg/mLの群ではCYP3A4の発現量がそれぞれ経時的に増加した。しかし、VRCZ長期曝露による明らかな発現量増大や濃度依存的な発現量の増大は認められなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
VRCZは重症または難治性真菌感染症の治療や造血幹細胞移植での深在性真菌症予防投与において長期間の投与が必要となる。しかし、長期投与されている外来患者では特定薬剤治療管理料の算定ができないため、定期的なTDMが実施されていない。改訂版 抗菌薬TDMガイドラインでは、長期投与症例に対する具体的なTDM実施方法は定まっていない。長期曝露により代謝酵素を自己誘導することが明らかとなれば、長期投与症例において適切なタイミングでのTDMが実施可能となり、VRCZによる真菌症治療の最適化に寄与できると考える。
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