〇研究の目的 レンバチニブは、肝細胞がん治療での血中濃度の有効域、副作用発現との相関性は解明されていない。臨床では、ALBI Grade分類によって初回投与量は設定されておらず、同じ投与量でも血中濃度には大きなばらつきがみられる。レンバチニブはCYP3Aによって代謝され、ABC トランスポーターの基質となることが知られている。血中濃度変動の要因としてCYP3A、ABCトランスポーター遺伝子多型が影響する可能性がある。本研究では、肝細胞がん治療薬レンバチニブの 1)血中濃度と副作用の関係、2)血中濃度と肝予備能(ALBI Grade 分類)の関連性、3)血中濃度の個人差に及ぼす薬物代謝・輸送関連遺伝子多型の影響を明らかにする。 〇研究の方法 1)レンバチニブ服用患者の血液サンプルである服薬前のトラフ値を採取する。高速液体クロマトグラフィー法を用いて、レンバチニブのトラフ値を測定する。副作用(高血圧、蛋白尿、手足症候群など)の重症度は「CTCAE v5.0 日本語訳 JCOG 版」で評価する。副作用と血中濃度の関連を検討する。2)全血液から DNA を抽出し、PCR-RFLP 法を用いて上記の遺伝子解析を行い、血中濃度との関連を検討する。 〇研究の成果(9月末まで) 統計処理を行うためにSPSS解析ソフトを購入した。症例数は10例であった。そのため、1)血中濃度と副作用の関係、2)血中濃度と肝予備能(ALBI Grade 分類)の関連性、3)血中濃度の個人差に及ぼす薬物代謝・輸送関連遺伝子多型の影響を明らかにすることに関して、臨床的な有意差を出すことはできなかった。
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