研究課題/領域番号 |
21H04219
|
研究種目 |
奨励研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3180:医療薬学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴鹿 雅人 東北大学, 大学病院, 薬剤師
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
470千円 (直接経費: 470千円)
2021年度: 470千円 (直接経費: 470千円)
|
キーワード | 統合失調症 / TDM / 抗精神病薬 / 血中濃度一斉分析法 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症は慢性化しやすい疾患であるが、適正な治療により脳の機能低下と再発の割合を最小限に抑えることができるという報告がある。 一方、治療薬物モニタリング (TDM) は、薬物血中濃度と治療効果や副作用との関連性情報をもとにして、治療の最適化を図る個別化薬物療法に用いられるが、本邦では統合失調症治療に用いられる抗精神病薬の多くはTDMが行われていない現状にある。 そこで本研究では、抗精神病薬の測定系開発を進め、抗精神病薬の薬物血中濃度測定を行う。また、得られた血中濃度情報と検査値等の臨床情報との関連を精査することで、精神科におけるTDMの有用性の検証と薬物療法の適正化に貢献できると考える。
|
研究成果の概要 |
本研究で開発した抗精神病薬一斉分析法は、改良の余地があるが、抗精神病薬の血中濃度に有用であると考えられた。LC-MS/MS条件を検討した結果、20化合物中11化合物は日内・日間再現性試験の基準を満たした。安定性試験の結果、化合物毎に最適な保管温度や保管期間が異なることが明らかになった。 患者の薬物血中濃度を分析したところ、治療参照域を大きく超える薬物も認められた。今後、薬物血中濃度と効果および副作用との関連性を精査する予定である。まだ症例数は少ないが、本研究成果は日本人においても抗精神病薬の血中薬物モニタリング(TDM)による投与量調節の必要性を示唆するものであった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本邦は海外に比べ多剤併用の割合が高く、薬物相互作用に基づく副作用が発生する傾向が強いとの調査結果がある。しかしながら、抗精神病薬の多くは特定薬剤治療管理料の対象になっておらず、TDMが行われていない現状にある。また、実臨床において、精神症状と抗精神病薬による副作用との鑑別が困難な症例など、 治療効果と副作用に関して客観的な評価指標が求められている。 本研究で開発した抗精神病薬の血中濃度一斉分析法は、臨床現場における抗精神病薬のTDMに有用であることが示唆された。今後、抗精神病薬の血中濃度と効果や副作用との関連性の検証が進めば、統合失調症の薬物治療最適化に大きく貢献することが期待される。
|