研究課題/領域番号 |
21H04241
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3190:生体の構造と機能、病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
工藤 信次 熊本大学, 技術部, 技術専門職員
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
460千円 (直接経費: 460千円)
2021年度: 460千円 (直接経費: 460千円)
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キーワード | 肺小細胞癌 / 薬剤耐性獲得機構 / 次世代シーケンサー / RNA-Seq |
研究開始時の研究の概要 |
肺小細胞癌は治療抵抗性の獲得と高転移能により生命予後の悪い難治性癌として知られている。本研究では、肺小細胞癌の治療薬剤であるエトポシドの薬剤耐性細胞を作製し、次世代シーケンサーを使用してその細胞の遺伝子発現を網羅的に定量する。さらに遺伝子オントロジー解析を用いて薬剤耐性に特異的な分子群を同定し、薬剤耐性に関与するシグナル伝達経路を特定することにより、薬剤耐性化制御機構を解明する。
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研究成果の概要 |
肺小細胞癌は抗癌剤治療後の薬剤耐性を獲得しやすいことが知られている。肺小細胞癌細胞に抗癌剤を暴露させ薬剤耐性細胞を作製し、次世代シーケンサーを使った網羅的な遺伝子発現解析(RNA-Seq)により、薬剤耐性分子の同定を試みた。その結果、2種類の肺小細胞癌の薬剤耐性細胞を使って、共通の発現変動遺伝子334を同定し、ABCトランスポーター001とSLCトランスポーター277の候補遺伝子を抽出した。本研究により、肺小細胞癌におけるトランスポーターを介した薬剤耐性機構が示唆された。今後、この薬剤耐性分子について臨床検体を使った発現解析と周辺のシグナル伝達経路の解明を目指す計画である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺小細胞癌は肺癌の約10~15%を占める高悪性度の神経内分泌癌として知られており、抗癌剤治療後の薬剤耐性が問題となっている。本研究は、肺小細胞癌が薬剤耐性を獲得する機構を解明するために、肺小細胞癌の薬剤耐性細胞を作製した。その結果、2つのトランスポーターを薬剤耐性分子として同定した。これらの結果により、肺小細胞癌の薬剤耐性を獲得するメカニズムの一つにトランスポーターの寄与が示唆された。この薬剤耐性分子が治療抵抗性の肺小細胞癌で発現確認でき、かつ薬剤耐性分子が関与するシグナル伝達経路を特定できれば、薬剤治療抵抗性の肺小細胞癌の治療標的としてトランスポーターに絞った新たな治療法の開発が期待される。
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