研究課題
奨励研究
法科学鑑定では、犯罪現場で採取された試料に対してスクリーニング検査を行う。特に、性犯罪においては男性成分の確認が重要な工程となる。一方、効率的な鑑定を行うためには、スクリーニング検査に迅速性・簡便性が求められる。本研究では、迅速・簡便な核酸検出法であるRPA法を利用し、男性特異的な核酸マーカーの検出法を確立する。
本研究では、等温増幅(39℃)かつ短時間(20分)の反応系であるRPA法を利用し、男性特異的なDNAを迅速・簡便に検出する方法を開発した。本法により、10 pgまでの男性DNAを検出することができた。また、簡易的なDNA抽出法を組み合わせたダイレクトRPA法により、試料の処理から男性DNAの検出まで30分程度で行うことができた。これらの結果は、RPA法が男性特異的なDNAのスクリーニング検査として有効であることを示唆する。
男性DNAのスクリーニングは、性犯罪等の法科学鑑定において重要である。しかし、従来のqPCR法による工程は時間と手間がかかる。本研究で開発したRPA法は、qPCR法に比べて迅速・簡便な方法であり、30分程度で男性DNAの有無を確認できる。よって、法科学鑑定の効率化に貢献できると考えられる。また、反応温度(39℃)が低いことや作業工程が少ないことから、実験室だけではなく現場での即時検出が期待できる。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Forensic Science International: Genetics
巻: 59 ページ: 102704-102704
10.1016/j.fsigen.2022.102704