研究課題/領域番号 |
21H04339
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 晃一 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (70345239)
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研究分担者 |
根本 裕史 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (00735871)
早島 慧 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (70801372)
崔 境眞 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (30785415)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
35,490千円 (直接経費: 27,300千円、間接経費: 8,190千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | アビダルマサムッチャヤ / 阿毘達磨集論 / 瑜伽行派 / カダム全書 / 唯識 / XML / TEI:P5 / チベット仏教 / Abhidharmasamuccaya |
研究開始時の研究の概要 |
『阿毘達磨集論』は5世紀頃に書かれたインド大乗仏教の哲学文献である。近年チベットのデプン寺で発見された『カダム全集』には、この『阿毘達磨集論』の注釈が、多く収録されている。それらはいずれも大部の注釈で、全体像は容易には把握しがたい。本研究では、そのすべてを電子テキスト化し、必要な情報へのアクセスを容易にすることを目指す。また、これをウェブサイト上で公開することにより、仏教学、チベット学研究の利便性を高めること、文献学的知見に基づくテキスト構造化の方法を提示することを目的とする。
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研究実績の概要 |
『阿毘達磨集論』は5世紀頃にインドで著された文献で、仏教思想に関する術語を集め、大乗仏教の唯識思想と関連付けながら体系的にまとめている。この『阿毘達磨集論』はチベットに伝わり、チベット語に翻訳されている。このチベット語訳に対して、チベットでは十世紀以降、多くの注釈が作成された。それらは散逸したとされていたが、2006年、2007年、2009年、2015年の4回に分けて刊行された『カダム全書』に、チベット撰述の『阿毘達磨集論』注釈書が収録されていることが判明した。その数は総計11点となる。本研究では、これらの注釈文献のうち、9点について電子テキストを作成し、TEI:P5に準拠してタグ付けし、公開することを目指している。 前年度に引き続き、2023年度はチベット撰述の『阿毘達磨集論』注釈のうち、以下の主要な二点について、入力作業を行い、テキスト部分についてはほぼ完了している。 1.Chos mngon pa kun las btus pa'i tika shes bya thams cad gsal bar byed pa'i sgron me 2.Chos mngon pa kun las btus pa'i rnam par bshad pa gsal ba'i rgyan 今後、これに対してXMLによるタグ付けを行い、検索の利便性を高める。そのために、2023年度は、ウェブ上で公開に向けてプラットフォームの準備も進めた。現在は検索機能については、文献中で言及される人名、書名などを抽出できるようになっているが、単語の検索などは単純なテキスト検索のみになっている。この点を改善するために、分担者との意見聴取を行い、設計中のウェブサイトの問題点を整理した。 また、こうした作業を通じて得られた仏教学研究の知見を、研究代表者、分担者の研究成果の一部に反映させ、発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究計画の3年目に相当する。残りの2年間で7点の注釈を入力する必要があるが、これまでの作業の進捗状況からみて、十分に可能であると考えている。また、チベット文字のOCR技術が公開されたため、入力作業の方法が大きく変化している。今後はこうした技術を活用し、電子テキストの作成を進める予定である。 全体的には進捗状況がやや遅いようように思われるかもしれないが、これまでの3カ年では、単純なテキスト入力だけでなく、ウェブ上での公開に関して、TEI:P5に準拠したタグを付すことで、より検索に適した電子テキストの構築を検討しながら、作業を進めてきた。そのため、入力を一時中断することもあったが、今後は入力作業とタグ付け作業を並行して行うため、これまでの作業効率でも残りの文献を入力することは可能であると考えている。 こうした状況からみて、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは目視によって入力作業を行ってきたが、チベット文字のOCRが利用可能となったため、これを活用して、自動的に読み取らせたデータを活用することを検討している。 ただし、まだ精度が不安定であるため、校正作業は必要である。また木版活字体は自動で読み取ることが可能だが、写本や、草書体は読み取れない可能性が高いため、それらの文献の扱いについて検討する必要がある。
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