研究課題/領域番号 |
21H04344
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分1:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
松原 洋子 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (80303006)
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研究分担者 |
末田 邦子 愛知淑徳大学, 福祉貢献学部, 准教授 (00434556)
坂井 めぐみ 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 特別研究員(RPD) (00851578)
松田 亮三 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (20260812)
美馬 達哉 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20324618)
中村 江里 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (20773451)
松岡 弘之 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (30877808)
橋本 明 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (40208442)
由井 秀樹 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (40734984)
久保田 明子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (40767589)
後藤 基行 立命館大学, 先端総合学術研究科, 准教授 (70722396)
瀬山 紀子 埼玉大学, その他部局等, 准教授 (00599813)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2023年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2022年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2021年度: 18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
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キーワード | 優生保護法 / アーカイブ / 優生学 / 政策評価 / ELSI |
研究開始時の研究の概要 |
諸科学の知識を背景に医療技術を介在させ、優生学の名の下に「治らない」とされた人々に対する強制的な不妊手術を合法化した断種法は、科学技術ガバナンスのテーマとしてきわめて重要である。本研究では、日本の断種法である優生保護法に関わる具体的な運用および被害実態を解明するために、1)関連する公文書等の一次資料を収集した上で、「保存と公開」の機能を実装したアーカイブを構築し、2)アーカイブの資料を利用して、優生学的な生殖管理の実態を分析するとともに、3)それらの基礎を踏まえ、生命倫理に関わる政策評価の根拠になるエビデンスへのアクセス体制の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
2021年度に引き続き全都道府県に強制不妊手術および優生保護法関連の資料の開示請求を行うとともに、公文書館所蔵資料および関連する各種統計、雑誌、報告書等を収集、順次電子データ化した。自治体開示請求資料(54点:画像枚数53040枚)、公文書館収集資料(3点:画像枚数2,708枚)、各種統計、雑誌、報告書等刊行物(26点:865冊)を立命館大学のオンラインストレージに追加、メンバーが収集した一部資料も含めて利用ガイドラインのもとで科研メンバーが閲覧可能となっている。さらに、本科研分担研究者の後藤基行が運営する「医療・ヘルスケア政策データアーカイブ」(https://jmhp-data-archive.com/)と連携、優生保護統計報告のエクセルファイルを作成し同ウェブサイトで公開した。さらに、戦中から戦後の優生保護法施行までは、国民優生法下で優生手術が行われていることから、国民優生法に関する公文書の情報開示請求を全都道府県に対して行った。 科研費基盤研究A「アーカイブ構築に基づく優生保護法史研究」を3回開催、優生保護法下での東京の精神衛生相談所、アメリカ占領下沖縄の優生立法、長島愛生園における断種記録、旧優生保護法公文書情報公開訴訟、海外における公文書等を用いた強制不妊手術実態調査、宮城県における優生保護法の運用、カナダの優生学アーカイブの展開と研究状況、優生保護法改正経緯と通知類の関係に関する研究報告が行われた。また、新型コロナウイルス感染症の影響で実施が困難だった優生保護法下での強制不妊手術被害者の聞き取り調査について、立命館大学の研究倫理委員会での審査を経て、一部の調査を開始するとともに、協力団体との調整等、具体的な準備を行った。さらに、本プロジェクトの成果となる論文集のとりまとめに向けて、研究会で構想を検討し、各論文の執筆方針について研究分担者と個別に協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染防止に関する規制の一部緩和に伴い、資料収集・整理、電子化、デジタルアーカイブ化について、前年度の積み残しを解消し当初の計画を達成することができた。研究会では、これら資料を活用して議論し論文集作成の準備をしている。また、強制不妊手術の被害者に対する聞き取り調査にも着手した。さらに、JSPS外国人招へい研究者として保明綾氏(マンチェスター大学、研究協力者)を立命館大学に迎え、優生政策研究の国際比較および本プロジェクトの国際連携を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、強制不妊手術関係の公文書をはじめ、関連資料の収集とデジタルアーカイブ化をさらに進展させる。各地方自治体の情報開示過程の記録を整理するとともに、資料公開のルールおよびデジタルアーカイブの運営方針についても検討を進める。強制不妊手術被害者の聞き取り調査については、研究倫理委員会承認の計画にもとづき協力団体との連携を深めながら慎重に実施する。さらに、優生政策の歴史的評価に関する国際比較を行うためカナダのEugenics ArchiveについてErika Dyck氏(サスカチュワン大学)によるオンライン研究会、Jaehwan Hyun氏(釜山大学校)ら韓国の研究者グループとの対面ワークショップ等を実施する。以上の活動をふまえて、プロジェクトメンバー間の議論を深め、論文集を作成する。
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