研究課題/領域番号 |
21H04346
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
江畑 冬生 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (80709874)
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研究分担者 |
永山 ゆかり 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (20419211)
藤代 節 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (30249940)
松本 亮 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 客員研究員 (30745857)
A Bugaeva 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 准教授 (40550075)
李 林静 成蹊大学, 法学部, 教授 (40567418)
小野 智香子 北海学園大学, 工学部, 教授 (50466728)
梅谷 博之 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (60515815)
BAEK SANGYUB 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60788925)
長崎 郁 名古屋大学, 人文学研究科, 特任講師 (70401445)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
38,740千円 (直接経費: 29,800千円、間接経費: 8,940千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | シベリア先住民言語 / 言語類型論 / 言語接触 / 記述言語学 / 対照言語学 / 言語系統論 / 形態音韻論 / 社会言語学 / 地域言語学 |
研究開始時の研究の概要 |
シベリア先住民諸語を対象に2つのテーマに取組む.第1に系統関係と類型的特徴が異なる言語同士が相互接触を繰り返して現在の姿に至るまでの歴史的過程を解明する.特に十分な言語資料が残っていない時期を含む歴史的変遷について,地域類型論的研究,対照言語学的手法,フォークロア資料調査,未出版の古文献資料調査などの研究手法を多角的に活用することで実証的に捉える.第2にシベリア先住民諸語の言語類型論的特質を明らかにする.特に形態音韻的交替・格配列・統語的派生・複統合性・抱合・指示転換・非人称構文・能格性に着目しながら,国家語成立以前の先住民諸語が言語類型論的に際立った特異性を示すという仮説の検証を目指す.
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研究実績の概要 |
研究年度2年目にあたる2022年度には,「古文献資料から見るシベリア先住民諸語の過去」を全体テーマとし,主として未公刊資料の分析による先住民諸語の過去の姿を掘り起こし,同時に類型論的多様性と特異性の解明に焦点をあてた研究を行った.主な研究成果は以下のものである.第1に,チュルク語族における副動詞の用法や副動詞を含む補助動詞構文の対照により,同系言語同士の近接性と相違点を明らかにした.第2に,地域言語学的観点から,シベリア先住民諸語の数詞加法表現やSwitch-reference現象の類型を示した.第3に,記述言語学と言語類型論の観点から,モンゴル語やトゥバ語の形態素タイプと形態音韻論のインターフェイスの問題やアイヌ語のlogophoricシステムに関する論考をまとめた.第4に,言語系統論の観点から,シベリア先住民諸語における系統分類と周辺言語または上層言語との言語接触の問題について進展が見られた.第5に,シベリア先住民諸語の未公刊資料や現地出版物を詳細に検討したことによる研究成果が得られた. 国際研究活動として,ロシア連邦および大韓民国で開催された国際学会において成果発表を行うことができた.アウトリーチ活動として,研究代表者による講演「シベリアの少数民族:サハとトゥバの言語と文化から日本を見る」(2022年8月・新潟東ロータリークラブ)などがあった. このように2022年度の研究活動は引き続きおおむね順調であったが,前年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の問題に加えてロシアによるウクライナ侵攻によるマイナスの影響も見られた.この問題に対しては,オンライン調査やオンラインによる学会参加を活用することによる対応を続けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 前年度に引き続き今年度においても新型コロナウイルス感染症およびロシアによるウクライナ侵攻による直接的な影響を被り,研究課題の当初計画で予定していた現地調査や国際学会参加を断念せざるを得ない状況が発生したものの,オンラインによる現地調査あるいは学会参加に切り替えることによりマイナスの影響を最小限にとどめることができた. 2. 研究成果として,学術雑誌への論文掲載19編,国内学会・海外学会での研究発表19件,図書出版7件があった. 3. 国際連携による研究活動として,主としてロシア連邦・大韓民国・中華人民共和国の研究機関に所属する研究者らと積極的な意見交換を行うとともに,国際学会での研究発表も8件に上った. 4. アウトリーチ活動の一環として,研究代表者が新潟東ロータリークラブでの講演を行った.
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今後の研究の推進方策 |
研究年度3年目にあたる2023年度には,「シベリア先住民諸語の文献以前の歴史的空白期」を全体テーマとしている.これに沿って研究メンバーのそれぞれが,現地調査あるいはオンライン調査,19世紀の未出版手書き古文献の調査,18世紀~19世紀前半の断片的な語彙資料からの検証作業,方言間における文法対照と内的再建などを通じて,歴史的変遷プロセスの解明を進めていく.2023年5月には,新潟大学において研究メンバー全員による打合せ兼研究会を開催予定である.年度末までに,日本言語学会や国際アルタイ学会などにおける口頭発表,『北方言語研究』『アルタイ学報』誌などへの論文投稿,成果論集の出版などにより成果公開を進める.
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