研究課題/領域番号 |
21H04350
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山中 玲子 法政大学, 能楽研究所, 教授 (60240058)
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研究分担者 |
竹内 晶子 法政大学, 国際文化学部, 教授 (10409344)
中野 顕正 鶴見大学, 文学部, 講師 (10882813)
表 きよし 国士舘大学, 21世紀アジア学部, 教授 (30214224)
伊海 孝充 法政大学, 文学部, 教授 (30409354)
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (40551502)
玉村 恭 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (50575909)
中野 遥 上智大学, 基盤教育センター, 助教 (60870441)
宮本 圭造 法政大学, 能楽研究所, 教授 (70360253)
森 幹彦 法政大学, 社会学部, 教授 (70362423)
日置 貴之 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (70733327)
ペレッキア ディエゴ 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (70802164)
横山 太郎 立教大学, 現代心理学部, 教授 (90345075)
豊島 正之 上智大学, 文学部, 教授 (10180192)
畠山 久 東京工業大学, 教育革新センター, 准教授 (20725882)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
25,220千円 (直接経費: 19,400千円、間接経費: 5,820千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 能 / 謡曲 / 仏典 / 芸談 / 邦楽 / 能伝書 / 浄瑠璃 / 仏教 / データベース / 世阿弥 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、室町時代に大成された能の「ことば」を研究対象とする。能が、近世の諸芸能だけでなく、近代・現代文学、演劇に至るまで及ぼした影響の大きさは広く理解されているが、その脚本の検索にさえときに難渋する現状がある。本研究はこうした状況を変えていくため、①能のコンテンツたる「謡曲」のことばと②能の規範を語る「能伝書」のことばに注目し、能楽研究の知見とコーパス言語学の手法を併せることで、全文検索型のデータベースを構築する。同時に、③謡曲に取り込まれた仏教、④近世諸芸能への影響、⑤近代以降の能楽言説、に関する共同研究を進め、能と他ジャンルの文芸・思想との、数百年に亘るやりとりを包括的に捉える。
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研究実績の概要 |
〇謡曲データベース:江戸時代に刊行された謡曲500曲のうち、300曲分は翻刻と検索プログラムに適した形式での整理、最終確認が終了している。さらに100曲分は、翻刻と形式上の整理を終え、確認作業を待つ段階である。 〇能楽伝書データベース:既に打込み済みの室町期能伝書テキストデータの切り分け、タグ付け等の作業を進めているほか、未翻刻の囃子伝書(江戸初期の笛伝書)や脇方の伝書についても、対象とした資料の翻刻はほぼ終えている。 〇謡曲仏教関連語句データベース:昨年度までの共同研究の成果を整え、試験公開を始めた(http://nogami-nohken.jp/mw/)。法華経、浄土三部経等の経典由来の言葉や、インド・中国撰述文献の言葉につき、注釈とそれらを引く謡曲の用例、その場面の解説を示す。関連項目として、作品梗概データベースを紐づけているが、こちらは、各曲の日本語解説や上演流派、室町期の上演記録など。加えて英語の解説を紐付ける作業も継続中である。 〇近代以降の能役者の言説:大正時代までの(著作権が切れている)芸談をOCRにかけたうえでテキストデータとして整理し、そこからの役者の言葉をピックアップする作業は、今年度予定した分は完了している。近世邦楽への影響に関しては、データベース作成途中。また、英・独・仏・伊語での文献収集を進めると同時に、協力者との研究会を重ね、キーワードの選定(性や数による語尾変化にも対応できるような形を検討)や、メタデータの決定を行った。サンプルとして幾つかの書籍を取り上げ、検索語をかけて、その結果を記録した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近世邦楽への影響、世阿弥時代の能楽論など、一部、データ打ち込みのアルバイトを手配できず、遅れているグループもあり、また、データベース構築の中心メンバーが脳梗塞で数か月入院するというアクシデントがあったが、謡曲、仏教関係語句、室町期能伝書、近代以降の芸談など、それぞれのグループでデータの集積が進んでおり、今後2年間で能楽のことばに関する総合的なサイトを作るための基礎は、順調にできあがってきているため。
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今後の研究の推進方策 |
今まで各グループでそれぞれ進めてきた研究成果や集積したデータを持ち寄り、総合的なサイトのデザインを考えつつ、それぞれの分野にふさわしいデータベースを構築、発信していく。 〇謡曲と能楽伝書のデータベースは、国立国語研究所との研究協力を進め、能楽(古典芸能)専用の単語切り分け辞書完成をめざす。同時に、現在翻刻を進めている多くの能楽資料を簡単に串刺し検索できるプログラムを作り、試験的に運用する。謡曲データベースについては未翻刻の曲が100曲残っているので今年度前半はまずその作業を進める。能楽伝書のうち、世阿弥伝書の扱いについても検討を始める。 〇近代以降の能役者の言説から、能についてどのようなことが語られてきたのか、どのような用語で能が表現されてきたのかがわかるリストを作成する。外国文献が能についてどのように語っているか、については、単純なリストでは示せない問題も多いと思われるが、今年度は研究会などで情報を共有して今後の検討課題とする。 〇世阿弥伝書のデータ化と近世邦楽への影響(紀海音全集のデータ打ち込み)について、昨年度は予定していた研究協力者を確保できず入力作業が進められなかったため、今年度は早期に対策を練り、作業の確実な進展を図る。 〇前期が終了するまでに、全体の研究報告会を開いて各チームの研究成果や進捗情報、問題点の共有をはかるとともに、最終的にどのような形で全体の研究成果を発信していくのか、ウェブサイトのデザインも含め、検討を始める。
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