研究課題/領域番号 |
21H04353
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
下田 一太 筑波大学, 芸術系, 教授 (40386719)
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研究分担者 |
本村 充保 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 総括研究員 (00270778)
内田 悦生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40185020)
山田 和芳 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (60508167)
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
山藤 正敏 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 主任研究員 (20617469)
佐藤 由似 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 主任専門職 (70789734)
原口 強 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70372852)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,690千円 (直接経費: 31,300千円、間接経費: 9,390千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | アンコール / サンボー・プレイ・クック / 航空レーザー測量 / 地下探査 / 都市構造 / 古環境復元 / 水利構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、カンボジアにおける主要な古代都市を対象として、航空測量によって得られた高精度の地形情報と、現地における建築学・考古学・地形学等の調査に基づき、古代・中世のアンコールの歴史・社会・環境に対する理解を更新しようとするものである。 これまでのアンコールの歴史研究は、治世者の権力継承による王朝史や王都における寺院や彫像の様式変遷史に関心が傾斜するきらいがあった。本研究では、国家の中央に加えて地方、支配者層に加えて被支配者層、宗教施設に加えて生活基盤の遺構全般、というように諸側面を包括した古代アンコール社会の実態に迫ろうとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、クメール王朝の主要な都市遺跡を対象として、航空測量によって得られた高精度の地形情報と、建築学・考古学・地形学等の現地調査に基づき、古代・中世のアンコールの歴史・社会・環境に対する理解の更新を目的とする。このために、プレ・アンコール期、アンコール期、ポスト・アンコール期にそれぞれ最盛期があるとされる複数の都市遺跡を対象とし、以下の5つのアプローチより研究に取り組んでいる。 【A】主要なクメールの都市型遺跡群の航空レーザー測量の地形データに基づく都市構成要素の分布・配置の検出と都市遺跡地図の作成。【B】都市構成要素である宗教遺構、政庁施設(王宮、官衙)に推測される遺構、水利遺構(水路・溜池・ダム・環濠等)、交通遺構、耕作遺構の地上調査と現況記録。【C】宗教・政庁遺構の分布把握のための主要地区における地下探査。【D】宗教・政庁遺構における建築学・考古学的発掘調査による遺構分析(造営-改変-放棄の経緯、規模、構造等)と出土遺物調査(在地の土器・陶器の編年研究)や輸入陶磁器による交易調査。【E】水利遺構における地形学・考古学的調査による水利構造の解明と堆積土壌分析による土地利用変遷と古環境復元。 研究2年度となる本年は、プレ・アンコール期7世紀前半にチェンラ王朝の王都であったとされるサンボー・プレイ・クック遺跡群の都城区を中心として複数回の現地調査を行った。上記区分のB,C,D,Eにあたる調査を建築学・考古学・岩石学・地形学の見地から進め、都城区内外の主要な遺構の築造から放棄までの年代観の解明を試みた。 アンコール遺跡群の12世紀の王都中核部であるアンコール・トムの一部では予察的な地下探査を行い、線状の水利構造の一端を確認した。来年度以降には考古学的発掘調査も含む研究を進展する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に示した各項目に対して、以下のように研究が進捗している。 【A】アンコール遺跡群中核部とサンボー・プレイ・クック遺跡群(SPK)全域での遺跡地図が完成した。今後はプノン・クーレン内の遺構集中域、バンテアイ・チュマールでの地形データの分析と図化を進める。【B】SPKの都城内の全煉瓦遺構の煉瓦分析を完了した。今後寺院区での分析結果と照合しつつ、都城区内の遺構の造営過程の検討を進めている。【C】SPK北方のRobang Romeas寺院、都城中央のマウンド遺構、都城内の方形周壁構造内(M78,79サイト)、都城内の中軸線に合致する線状遺構での地下探査を実施した。【D】SPK都城内の主要遺構であるM103での発掘調査を行い、2基の煉瓦造祠堂と周壁遺構の構造を明らかにした。その結果、寺院区と同時期の遺構でありつつも2基の祠堂に時期差があること等が確認された。また、都城内中央に位置する大型マウンドM90での発掘調査を行い、テラス型の遺構における改変の過程を明らかにし、また基壇内部出土の炭化物からの年代測定、出土した中国、ベトナム陶磁器より造営時期を明らかにした。【E】SPKの都城環濠、溜池、水路における発掘調査を行い、各遺構の当初構造と改変や浚渫等の過程の解明を試みた。環濠や溜池底の堆積土の採取試料より、理化学的分析(粒度分布、微粒炭分析、化学組成分析、花粉分析、プラント・オパール分析、昆虫遺体分析等)を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年度目もまたサンボー・プレイ・クック遺跡群を中心として調査を進める。先の調査で取得した試料分析の結果に基づき、調査地点や方法については検討する予定だが、以下が想定している調査内容となる。 1)都城内外の溜池底の堆積土調査(採取試料による環境・土地利用変遷の分析)、2)水田跡地の追加調査(昨年採取した土砂のプラント・オパール分析の結果に基づき実施の是非を検討)、3)都城内のマウンド遺構の調査(カンボジア政府が予定している都城内の来訪者ルートに基づき対象遺構を定め、発掘調査後には埋め戻さずに露出展示することを前提とした調査とする)、4)寺院区内プラサート・サンボー南での地下探査と発掘調査(土器編年試料の確保を目的とするもので、1960年代と2000年代に実施された調査を補足する内容とする)、をそれぞれ実施する予定である。 その他、アンコール遺跡群内アンコール・トムでの水利構造(格子状の水路と溜池)について部分的な発掘調査を含む予察的な調査を予定する。 また、地形データより9世紀の都市遺構が検出されているプノム・クーレンと、12世紀に2つの中核都市地区が隣接して造営されたとされるバンテアイ・チュマールにおいて踏査を行い、今後の本格的な調査実施の方法や地区を検討する。
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