研究課題/領域番号 |
21H04368
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分3:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
小野 林太郎 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (40462204)
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研究分担者 |
田村 亨 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 上級主任研究員 (10392630)
海部 陽介 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (20280521)
菅 浩伸 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (20294390)
山岡 拓也 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30514608)
藤田 祐樹 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (50804126)
竹中 正巳 鹿児島女子短期大学, その他部局等, 教授 (70264439)
片桐 千亜紀 九州大学, 比較社会文化研究院, 共同研究者 (70804730)
石原 与四郎 福岡大学, 理学部, 助教 (80368985)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 島嶼移住 / 更新世サピエンス / 葬墓制 / 琉球列島 / ウォーレシア / サピエンス / 東南アジア / 島嶼移住年代の把握 / 島嶼適応と海洋適応 / 更新世期サピエンス / 洞窟遺跡 / 先島諸島 / 海洋適応 / 石器利用 / 動物利用 / 移住と島嶼適応 / 海域アジア / インドネシア / 移住と海洋適応 |
研究開始時の研究の概要 |
アフリカが起源地とされる私たちサピエンスは、海域アジアからオセアニアの島嶼域へ拡散する過程で、海洋適応を進めた可能性が指摘されてきました。そこで本研究では、海域アジアに進出したサピエンスによる最古の痕跡が得られつつある島嶼域として、インドネシアと琉球列島の洞窟遺跡で新たな発掘を行う計画です。さらに出土する可能性が極めて高い①石器や貝器、②動物遺存体、③古人骨を対象とした学際的な考古・人類学的研究に加え、古環境復元や洞窟形成に関わる地質学的調査を同時に実施することで、海域アジアに進出したサピエンスの初期移住年代、移住集団の実像、渡海と海洋適応、島の古環境と人類による島嶼適応の実像に迫ります。
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研究実績の概要 |
本研究では、これまでコロナの影響・制約により実施できていなかったインドネシアでの発掘調査をついに再開することができた。これにより新たな出土遺物や考古学データの収集ができたことは大きな成果であった。同じくこれまでの研究・発掘調査により収集されていた更新世期人類の石器や動物利用、島嶼移住に関わる考古・人類学的資料の分析と整理も進み、その成果をWorld ArchaoelogyやJournal of Anthropologiaなどの国際学術誌で公表できたことも大きい。特にスラウェシ島やウォーレシア北部におけるサピエンス遺跡としては、炭化物年代で最古となる4万2000年前までは確実に遡ることを公表できたことは大きな成果であったと認識している。 一方、琉球列島における研究では、東南アジアやオセアニアの熱帯島嶼環境と類似性の高い宮古島と石垣島での洞窟遺跡の継続的な発掘を実施できた。これらの発掘では、とくに宮古島でのツヅキスピアブ洞窟遺跡で土器片や魚骨などを伴う炉跡の検出を継続的に実施した。石垣島の白保D洞遺跡では、上層に数メートルに及ぶ津波堆積層とその下層で確認された無土器文化層の発掘を進めることができた。 これらの研究からは、当時の人類集団による島嶼移住や生業戦略の復元にもアプローチすることができ、完新世初期、および更新世期のサピエンスによる先島諸島への拡散問題の解明のほか、この島嶼域へと移住した人類集団の土器や埋葬文化についての考古・人類学的資料の分析を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要においても言及したように、これまでコロナの影響で中断していたインドネシアでの発掘調査を再開できた上、新たな発掘でも様々な発見が続いたことがあげられる。加えて沖縄の先島諸島で実施した発掘調査でも、先行研究では確認されていなかった新たな土器や埋葬文化、動物利用に関する知見やデータを得ることができたことは大きく評価できる。またインドネシアを中心とする東南アジア島嶼を対象とした研究では、これまでのデータを基に複数の英語論文を国際学術誌に公表できたほか、国際学会での公表も積極的に行い、多くの反応を得ることができた。これらの成果も考慮した結果、コロナにより当初の計画からは大きな変更を余儀なくされた状況は続いたものの、研究全体としては今年度は計画以上に進展したと評価した。
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今後の研究の推進方策 |
インドネシアでの国際共同発掘は、当初の計画通りに継続して実施する予定であり、次期調査に関しての現地におけるカウンターパートとの調整や準備もできている。また比較的視点より実施してきた琉球列島での遺跡調査も継続実施する計画である。またインドネシアを対象とした研究では、これまでの未分析資料の分析や再分析をさらに進めることで、新たな知見やデータの収集・整理・公表にも努める計画である。琉球列島でのこれまでの研究成果も次年度には国際雑誌等に公表を計画しており、出土遺物の分析に多角的かつ継続的に進めていく予定である。
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