研究課題/領域番号 |
21H04373
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
長谷部 徳子 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (60272944)
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研究分担者 |
落合 伸也 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (10401936)
若狭 幸 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (40442496)
遠藤 徳孝 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (60314358)
本田 匡人 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 助教 (80785791)
福士 圭介 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 教授 (90444207)
松木 篤 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (90505728)
江口 友佳子 金沢大学, ダイバーシティ推進機構, 特任助教 (60838506)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 29,900千円 (直接経費: 23,000千円、間接経費: 6,900千円)
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キーワード | モンゴル / 古環境変動 / 環境動態 |
研究開始時の研究の概要 |
砂漠化の拡大が懸念されるモンゴル・中国北部の乾燥地域はかつては湖沼地帯であったことが地質から分かっている。ここを主たる研究対象に,環境システムがどのように機能して乾燥化をもたらすに至ったのかを解明するため(1)流域の陸水データや大気環境の観測体制の整備(2)気候要素や地域の水利用,後背地の堆積物供給能力等の地理地形学的調査(3)降水量をもたらす雲凝結核・氷晶核たり得る有機物調査(4)気候及び環境変化に関する歴史資試料収集(5)湖沼堆積物コアの取得・分析による古環境変動解明を行う。
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研究実績の概要 |
本申請では,アジア大陸内部で進行する乾燥化・砂漠化に対する対策を講じることを上位目標に,環境動態調査をモンゴルで実施し,気候,人間活動,環境の関係を明らかにすることを目指すものである。初年度に採集した試料の分析を進め,いくつか結果を得た。湖周辺の陸部から採取した表層堆積物コアを用いて,地域の風成放射性元素(137Csおよび210Pb)の分析を行ったが,濃度が低く検出できなかった。これらの元素は湖沼堆積物の年代決定に利用されているが,その起源はその場に風成で沈積したものだけなく,後背地から集められたものも貢献しているらしいということが明らかになり,年代モデル構築時に採用するべき仮定の決定に役立つ情報を得られた。後背地における人間活動の湖への影響をみるために有機フッ素化合物の含有量の調査を行った。これらは化学的に安定であるため湖水に濃集する懸念があるが,オルゴイ湖でペルフルオロnノナン酸が微量検出された以外はほぼ検出限界以下であった。 現地調査としてはブーンツァガン湖を対象にセディメントトラップによる表層の物質動態の観測を継続した。またブーンツァガン湖の長尺コア採取に関しては,コロナ禍及びウクライナ戦争の影響のため,初期の予定を変更し結氷期のハンドコアラーの利用を吟味していたところであるが,無事採取を行うことができた。2カ所で8m前後のコア試料を得た。事前の予想を裏切って,砂質の堆積物が多かった。今後この試料の分析を進める。 前年度までに採取されたセディメントトラップ試料の分析も進めた。その結果,堆積物の量は後背地の降水量と相関していること,また鉱物組み合わせの分析では,河川にはないが湖にのみ検出される鉱物があった。 いくつかの成果については第四紀国際会議等で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長尺コアの掘削に関して,コロナ禍及びロシアのウクライナ進行により予定変更を余儀なくされ,研究費を一部返還せざるを得なかったが,代替のハンドコアラー採取によって8mを超えるコアを得ることができた。また分析も順調に進んでおり一部結果もでてきたため,概ね順調と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
セディメントトラップ試料の分析結果は,堆積物の量は後背地の降水量と相関していること,また鉱物組み合わせの調査では,河川にはないが湖にのみで検出される鉱物があったことが明らかになった。それらは湖水で自生される炭酸塩鉱物と考えられる。この自生炭酸塩は大気中の二酸化炭素を固定したものと考えられるため,モンゴルの湖を二酸化炭素ストレージとして,温暖化対策に活用することを視野に入れ,さらに気候に対する物質動態の応答性の調査を進める。セディメントトラップによる観測を継続するとともに,採取したコア試料の分析をすすめ,どのような気候の時により二酸化炭素固定能が高くなるかの理解を進める。特に河川からのinputについては,セディメントトラップによる調査だけでなく,河川堆積物の宇宙線起源同位体濃度を測定することによって,河川の堆積物運搬能に関する理解を進めていきたい。またモンゴルでは結氷期に湖水の温度やイオン濃度が大きく変化することが予想されるため,自生鉱物生成に関する調査・分析を実施する。 一部成果については論文化を目指すとともに,研究の次のステップに向けて共同研究者との議論を進める。
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