研究課題/領域番号 |
21H04388
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 文明 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 名誉教授 (00126046)
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研究分担者 |
山岸 敬和 南山大学, 国際教養学部, 教授 (00454405)
荒木 圭子 東海大学, 国際学部, 教授 (00512633)
宮田 智之 (近藤智之) 帝京大学, 法学部, 教授 (00596843)
平松 彩子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00803884)
前嶋 和弘 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (10350729)
西川 賢 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (10567390)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
村上 政俊 皇學館大学, 現代日本社会学部, 准教授 (30908546)
梅川 健 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40635033)
小椋 郁馬 一橋大学, 大学院社会学研究科, 講師 (40965612)
森 聡 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (60466729)
梅川 葉菜 駒澤大学, 法学部, 准教授 (60780517)
岡山 裕 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (70272408)
清原 聖子 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任教授 (70372422)
松井 孝太 杏林大学, 総合政策学部, 准教授 (70733773)
渡辺 将人 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 准教授 (80588814)
中林 美恵子 早稲田大学, 留学センター, 教授 (90371187)
菅原 和行 福岡大学, 法学部, 教授 (90433119)
小浜 祥子 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (90595670)
杉野 綾子 武蔵野大学, 法学部, 准教授 (90911850)
山脇 岳志 帝京大学, 経済学部, 客員教授 (90940437)
齋藤 崇治 名古屋商科大学, 経済学部, 講師 (50979317)
中山 俊宏 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 教授 (60439560)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,820千円 (直接経費: 31,400千円、間接経費: 9,420千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 現代アメリカ政治 / 分極化 / 政党再編成 / 政策的収斂 / アメリカ / 政党 / 民主党 / 共和党 / 収斂 / 政策 / イデオロギー |
研究開始時の研究の概要 |
近年、アメリカの民主党と共和党の間には政策的収斂という現象が見られる。イデオロギー的に対立するはずの両党が、保護貿易、国内のインフラ投資、財政規律の緩和といった政策で合意するようになっている。現代のアメリカ政治は、多くの場合イデオロギー的分極化と党派対立構造という枠組みから理解されてきたが、この枠組みでは政策的収斂を説明できない。なぜ、どのように共和党と民主党の間には政策的収斂が生じるようになったのか。本研究では、現代のアメリカに政党再編成および政治構造の転換が生じつつあり、それが政策的収斂という新しい現象を引き起こしていることを実証する。
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研究実績の概要 |
米国政治における近年の政党再編と政策的収斂について、政党再編・政策的分極化と収斂の二つの要素に分けて研究が推進された。 政党再編については、民主党・共和党それぞれについて分析が行われた。民主党については、左派とバイデン政権を支える中道派の対立が時に顕在化している点が重要である。たとえばウクライナ支援について、左派はその縮小を求めている。ただ、2022年に下された妊娠中絶に関する連邦最高裁判所のドブス判決は、とくに同年の中間選挙において民主党支持者を活気づかせたことなどが解明された。それに対して、中長期的には民主党支持者は白人低学歴層を失い、顕著に高学歴化していることに視野に入れて分析する必要がある。 それに対して共和党は権威主義的な性格を強めている。これと関連してトランプを中心に対立軸が形成されており、かつての国際主義的であり、かつ外交安全保障政策で保守強硬派であった人々は一部が共和党を去り、また党内少数派に転落している。これと重なって、ウクライナ支援の継続ないし縮小が党の分断線の一つとなっていると理解できる。具体的業績としては、分担者の論文「米民主党を覆う「二つの難題」:新世代左派の苦悩とトランプ依存」「共和党の「権威主義政党」化を止められるか」などが大きな収穫である。 二大政党の政策は、対中国強硬外交の展開では超党派的性格を持ちながら、対ロシアではかなり異なっていることに注視する必要がある。それに対して、2021年1月6日の議会襲撃事件についての評価などでは、ますます対立が先鋭化しつつある。これらを総合的に理解できる枠組みを構築する必要があろう。その他、大統領制の変容、移民・人種・健康保険などさまざまな争点・政策に関しても、実証的かつ理論的な分析が行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでにプロジェクト初年度に『アメリカ政治の地殻変動-分極化の行方』を刊行することに成功し、さらに研究代表者を中心に多数の論文の執筆および研究発表がなされている。イデオロギー的分極化がさらに進行しつつ、一部で政策的収斂が観察されるアメリカ政治の現実の理解と説明は容易なことではないが、共和党トランプ派による白人労働者票奪取戦略を分析の中心に据えることが、さらなる研究進捗のための鍵であろう。すなわち、その戦略故に、一方で不法移民問題、宗教問題、人種問題などでの対立が先鋭化しながら、他方で通商政策やインフラ投資・一部の労働者支援政策などでは二大政党の立場の接近が見られるのである。
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今後の研究の推進方策 |
残る3年の研究期間において、白人労働者階級に焦点をあてて共同研究を推進したい。 白人労働者票の争奪こそが、二大政党の勢力争いの草刈り場であり、またイデオロギー的分極化、とりわけアイデンティティ・ポリティックス顕在化の主たる原因である。同時にそれが、一部の政策における収斂の主要要因ともなっている。人種、不法移民問題、教育、宗教、LGBTQ、さらには外交問題(バイデン政権のスローガン「ミドルクラスのための外交政策」はまさに白人労働者階級を意識したものである!)なども視野に入れ、総合的な分析を推進したい。
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