研究課題/領域番号 |
21H04399
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
太田 亘 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20293681)
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研究分担者 |
大西 匡光 大和大学, 情報学部, 教授 (10160566)
大屋 幸輔 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20233281)
笠原 晃恭 大阪大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (50811410)
山田 昌弘 東京理科大学, 経営学部経営学科, 准教授 (60732435)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2021年度: 15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
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キーワード | 証券取引 / 実物投資 / ファクターモデル / 株価指数関連取引 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、投資家の証券取引、その結果として形成される証券価格、および発行会社の実物投資の相互関連を解明することを目的とする。実物投資についてTobin's Qの説明力が低い原因の一つが証券市場の非効率性にあるとの視点に立ち、証券価格が各種情報をより反映しているとき、より効率的な実物投資が実行される、という仮説を検証する。また、証券の価格形成において、実物投資リスクが重要なリスクファクターの一つとなっているかを検証する。それと同時に、近年の証券市場の変化、例えば株価指数関連取引の活発化が、証券取引および企業の実物投資にどのような影響を与えているかについて分析する。
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研究実績の概要 |
本研究は、投資家の証券取引、その結果として形成される証券価格、および発行会社の実物投資の相互関連を解明することを目的としている。実物投資についてTobin's Qの説明力が低い原因の一つが証券市場の非効率性にあるとの視点に立ち、証券価格が各種情報をより反映しているとき、より効率的な実物投資が実行される、という仮説を検証するとともに、証券の価格形成において、実物投資リスクが重要なリスクファクターの一つとなっているかを検証する。同時に、近年の証券市場の変化、例えば株価指数関連取引の活発化が、証券取引および企業の実物投資にどのような影響を与えているかについて明らかにすることを目的としている。理論的に、証券価格が各種情報をより反映するのは、ノイズトレーダーまたは流動性トレーダーが活発に活動しているときである。そのため、ノイズトレーダーの活動を計測することが必要となるが、通常これは困難である。先行研究では、取引ルールの変更時を対象とした分析や市場外の情報を用いた分析が行われているものの、日々の取引においてノイズトレーダーの活動をとらえた分析は行われていない。これに対して、ノイズトレーダーの行動が、キリのよい価格で約定するという価格クラスタリングと関連していると仮定し、価格クラスタリングを利用した指標を作成した。これを用いて分析したところ、理論とほぼ整合的に、ノイズトレーダーが活発に活動しているときに証券価格に情報が反映している、という結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データベースの整備、理論の構築、各種指標の開発について、計画通りに進んでいる。前年度構築したデータベースに新規データを結合し、各種指標の作成およびその評価を行った。証券取引においては大口投資家の注文が価格形成に大きな影響を与えることがあるが、それを実証的に特定して影響を検証するため、大口投資家の発注戦略に関する理論的分析を継続して行った。証券市場における流動性指標について、情報の非対称性を反映した指標、マーケットメーカーの在庫リスクを反映した指標など様々な指標があるが、指数先物など株価指数関連取引では、情報の非対称性と同時に在庫リスクが重要である可能性がある。そのため、日次データからマーケットメーカーの在庫リスクが反映した指標の作成を試み、その評価を行った。株価指数関連取引が市場に与える影響について、日本銀行ETF購入は、個別銘柄の価格形成を歪めている可能性があるものの、他の要因による価格形成の歪みも十分に大きいことが示唆される結果を得ているが、より多面的な分析が必要とされる、という段階にある。また、証券価格に情報が反映するかについて、価格クラスタリングを利用した指標を作成し、価格形成に関する分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年度である本年度は、これまでの理論および分析手法に関する研究をふまえて実証分析を進め、最終的な結果を得る予定である。日本の市場データは、1996年以降は日中データを利用可能であるが、それ以前は日次データしか利用できない。この問題に対して、日本市場の特性をふまえた上で日次データを利用した指標を算出しており、これを用いて、例えば日経平均先物・オプションの導入が取引および価格形成にどのような影響を与えたか、など長期間の分析を行う予定である。また日中データが利用可能な期間についても、これまで構築したデータベースに最新のデータを追加したうえで各種指標を算出し、日本市場の特徴・変遷を分析するとともに、企業行動との関連を解明する予定である。
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