研究課題/領域番号 |
21H04409
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
倉元 直樹 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (60236172)
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研究分担者 |
鈴木 雅之 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (00708703)
内田 照久 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (10280538)
西郡 大 佐賀大学, アドミッションセンター, 教授 (30542328)
小俣 岳 広島大学, 高大接続・入学センター, 主幹学術研究員 (30982946)
立脇 洋介 九州大学, アドミッションセンター, 准教授 (50511648)
池田 文人 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 教授 (60333647)
脇田 貴文 関西大学, 社会学部, 教授 (60456861)
林 篤裕 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70189637)
小泉 利恵 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70433571)
久保 沙織 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (70631943)
光永 悠彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70742295)
飯田 直弘 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80578063)
林 如玉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (80983098)
島田 康行 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90206178)
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90280552)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 大学入試 / 新型コロナウィルス感染症 / 入試設計 / 大学入試政策 / 個別大学 / 新型コロナウイルス感染症 / 大学入試学会 / 学習指導要領 / 大学入学共通テスト / 入試広報 / オンライン / 大学入試の多様化 / アドミッションセンター / 多面的総合的評価 / 教育測定 / エビデンス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は高大接続改革の進行に並行する形で5年間実施された前研究課題(16H02051)の後継に位置づけられる。前研究課題と同様に、COVID-19の影響下で模索される新たな大学入試のあり方について、「入試政策検証班」「多面的・総合的評価班」「評価測定技術班」「コロナ対応検討班」の4班編成で、刻々と変化する状況に即応する大学入学者選抜政策と各個別大学の対応のために有益な研究成果の即時的配信を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は,高大接続改革に並行して平成28(2016)年度から5年間実施された基盤研究(A)JP16H02051の後継である。進行中の改革に即応しながら方針転換までを見届け,政策にも一定の影響を及ぼした前研究課題の方法論を踏襲した。「大学入試政策の検証」「COVID-19への対応」「多面的・総合的評価の追究」「評価測定技術の追求」という4つの柱によって研究を遂行し,エビデンスを重視した対応策の提案を行うことを目指している。 令和2(2020)年1月頃から流行が始まったCOVID-19は収束へと向かい,令和5(2023)年度入試まで3年度に渡った大学入試の特別措置も一部を除いて撤廃された。わが国の大学入試は正常化に向かっている。COVID-19それ自体への対応については,大学入試センター理事長裁量経費との共催によるシンポジウムの成果が学術雑誌に掲載される予定である。また,高校生の大学進学行動への影響に関する日中比較が成果として結実した。それに加え,昨年度はウィズコロナ期に普及してきたオンライン技術や同時期に急速に発達した生成AIの影響等のポストコロナ期における課題が目立ってきた。そのような状況変化を踏まえ,高大連携活動を含む大学入学者選抜の新しいモデルの構築が求められている。本研究プロジェクトでは,特に入試広報への影響に関する研究成果が進み,公表に至った。 今後,大きな転換期を迎えることが予想される大学入試研究の基盤を整えるべく,昨年度は組織基盤の整備に関わる研究を特に重点的に行った。国立大学アドミッションセンター連絡会議20周年記念事業に関連した調査では,入試専門部署の多様な実態が浮き彫りとなった。また,令和5(2023)年12月に「大学入試学会」が誕生した。本研究プロジェクトではその成立過程をテーマの一部に取り込みデータを収集した。次年度には,その成果について報告予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度に構築したウェブサイトを用いて,特に「研究報告」のページを活用した研究成果の速報を続けている。 5年計画の3年度目に当たる昨年度は,研究課題がコロナ禍の影響から大学入試関連政策の課題全体へと広がりを見せた。令和4(2022)年度に実施された東北大学高等教育フォーラムの成果を中心に取りまとめた東北大学大学入試研究シリーズ第8巻「再考 大学入試改革の論理」は,大学入試政策に関するこれまでの研究成果の象徴である。また,それ以外の研究も含め,雑誌論文12本,学会発表12件,図書2編(報告書1編含)の成果は,一定の成果を挙げたエビデンスと言えよう。全国大学入学者選抜研究連絡協議会におけるクローズドセッションでの学会発表抄録集原稿を除き,研究成果のほとんどは本科研費のウェブサイトで閲覧可能である。 研究分担者が一堂に会する対面での研究会の実施は昨年度も実施できなかったが,年度末にオンラインによる研究会が実施された。そのプログラムは令和5(2023)年度までの研究の進捗状況に関する振り返りに加え,今後に期待される研究の方向性に関する発表が中心であったため,参加者によって活発な意見交換が行われた。 その他に令和5(2023)年度の成果として特筆されるのは,12月に設立された「大学入試学会」の誕生である。もちろん,全てが本科研費研究プロジェクトの成果というわけではないが,発起人候補者に対する質問紙調査に基づく参加規模の予測が行われ,学会運営の見通しを立てるには大きな貢献があった。本科研費研究プロジェクトの中で研究補助期間を超えた今後の大学入試分野の研究基盤の整備に貢献できたことは,大きな成果と言える。 以上のように昨年度も活発な研究成果の発信が行われたことから,大学入学者選抜の現場にも一定の影響を与えたと考えられる。全体としては「当初の計画以上に進展している」と自己評価してよいと認識している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が一定の収束状況を見せた現在でも行動様式が以前に戻ることはなく,マスクの着用率向上など,日常生活に目に見える変化が表れている。いわゆるポスト・コロナ時代に移行した証左である。大学入学者選抜に関わる様々な場面でDX化やオンライン化が進んでいるのはその一例であろう。昨年度までは研究課題のかなりの部分をCOVID-19の直接的な影響に割いてきたが,今後はそれ以外の変化も含め,ポスト・コロナ期の大学入学者選抜のあり方に資する実践的な研究を進めていくことになる。 初年度からの3年間で東北大学大学入試研究シリーズに関わる書籍を3冊刊行した。そのうちの2冊はCOVID-19の影響について直接扱ったものだったが,昨年度は大学入試政策に焦点を当てた第8巻「再考 大学入試改革の論理」を上梓した。今年度は大学入試研究の基盤に目を向け,主として国立大学のアドミッションセンターに関連する内容でシリーズの第9巻を刊行予定である。さらに,昨年度に大学入試学会が発足したことから,研究関心の中心は大学入試研究の基盤整備に移行し,研究成果の発表の場も大学入試学会が中心となっていくことが予想される。 令和4(2022)年度に引き続き,昨年度も年度末のオンライン研究会の席で,研究計画調書に記載した「入試政策検証班」「多面的・総合的評価班」「評価測定技術班」「コロナ対応検討班」という4班体制が機能しており,組換えを要しないことを確認した。基本的に研究計画調書の記載にしたがって,予定通りの体制で研究を進めていく。なお,本科研費研究プロジェクトの最終年度は令和7(2023)年度である。来年度を待たず,今年度中に本研究プロジェクトの継続課題について研究計画最終年度前年度応募を行うかどうかは,新たな研究基盤として期待される大学入試学会の活動状況を見ながら検討していくこととなるだろう。
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