研究課題/領域番号 |
21H04419
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
南谷 和範 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (90551474)
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研究分担者 |
大津 起夫 独立行政法人大学入試センター, 独立行政法人大学入試センター, 参与 (10203829)
渡辺 哲也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10342958)
苅田 知則 愛媛大学, 教育学部, 教授 (40363189)
永井 伸幸 宮城教育大学, 大学院教育学研究科高度教職実践専攻, 教授 (50369310)
村田 真 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任教授 (60835023)
楠 敬太 佛教大学, 学生支援センター, 講師 (70770296)
寺尾 尚大 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 准教授 (70827055)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,690千円 (直接経費: 31,300千円、間接経費: 9,390千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 障害者 / CBT / IRT / テスト理論 / 合理的配慮 / CAT / 入試 / ディスレクシア / 視覚障害 / 入試配慮 / 障害者支援 / 支援技術 |
研究開始時の研究の概要 |
研究期間内に、先進的かつ厳正な大規模競争試験から日々の定期考査までの各種教育テストの障害者配慮向上の包括的実現を目的として、以下三つの目標を随時達成する。 (i) 読み書きに困難を抱える多様な受験者に対して、障害状況に応じて出題する設問を自動調整できる高度テスト配慮が実現したCAT型CBTシステムを開発する。 (ii) (i)の成果物、特にそのアイテムバンクを利活用して、試験時間延長倍率をはじめとする受験者の必要配慮の検査システムを実現する。 (iii) (i),(ii)のモニター調査の準備過程を、教育現場でのペーパーテスト配慮へのICT活用の現実解(仮称「ワンストップ体制」)として定式化する。
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研究実績の概要 |
5年計画中3年目に当たる今年度は、「研究の概要」に示した3目標のうち(i)と(ii)をブレークし、(i)-4,(i)-5,(ii)-2,(ii)-3を推進した。次年度以降の課題とする(i)-6と(ii)-4、(iii)-1にも部分的に適宜着手した。 目標(i)に属する課題・作業について。CBTシステムの開発: 主要開発対象は、(1)設問の属性情報の付与・管理を拡張したアイテムバンクのデータベース、(2) CBT問題閲覧システム本体の二つである。(1)について、属性付与・アイテムバンクへの収納・障害に応じた多様な提示方法いずれにおいても有望な小問形式の問題群による構成を進めた。(2)について、読み書きに困難を抱える受験者に試験問題を提示するには、問題内容の音声読み上げ、画面の拡大配色変更などの機能を具備した閲覧環境が必須であるが、これを研究代表者の既開発アプリの資産と経験を生かしてウェブブラウザベースで実装を進めた。 目標(ii)に属する課題・作業について。「必要配慮検査システム」の実装着手: この領域の研究のためには、ベースとすることになる(i)のCBTシステムの開発が進展する必要があったが、今年度に入りこの条件がある程度満たされ具体的な検討に入った。具体的には、受験者の正答・誤答に応じて難易度を上下させながら出題するCBTシステムを検査システムの用途に従い難易度の高低、受験者の正答・誤答や解答時間の長短のバランスが取れた出題に改装する必要がある。そのための要件・方針を定式化した。 対外広報・知見共有について。昨年度開催したオンラインシンポジウム「これからのCBT活用と障害のある児童生徒へのテスト配慮」が大きな反応を得たことから、その内容を冊子報告書にまとめた。あわせて「今ここにあるCBTと障害のある児童生徒への配慮」をテーマに今年度もオンラインでシンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
応募書類「研究の概要」に示した目標(i)のCBTシステムの開発において、本研究を進める上で核心的な重要性を有する(1)設問の属性情報の付与・管理を拡張したアイテムバンクのデータベースと(2) CBT問題閲覧システム本体の2点について、いずれも実現に一定の目途が立った。本研究の課題推進は、PDCAサイクルに従うことを方針とする。来年度はこのサイクルの第2周に入り、上記(1)、(2)の完成度を高められる基盤が整った。他の課題群については、これら2点の進展を派生的に活用しながら推進する戦略を採用しており、今年度は特に目標(ii)において今後の基礎とできる進捗を達成した。引き続きこの方針を採用し着実に成果を確保する形態の研究推進を心がける。 なお、(1)と(2)の研究推進を通じて、重度視覚障害者(点字使用者)のためのCBTシステムは、アイテムバンクに格納するデータの形式においても出題に用いるデバイスの類型においても一般の(障害者を想定した)CBTシステムとは大きくことなり、別途のシステム開発が必要である可能性が浮上した。 他方で、特に前年度までの新型コロナ感染症蔓延防止に伴う制約から、大規模モニター調査のための事前サーベイや実際の調査実施の体制を十分に整え切れていない状況が続いている。 以上を総合的に踏まえ、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
上記、「理由」の内容を踏まえつつ今後の研究の推進方策として注意するのは主に以下の2点である。 大規模モニター調査のための実施体制を十分に整え切れていない点について。堅実に成果を確保することを優先する。具体的には、特に本研究が目指す成果物の想定利用者が数的には決して多数者には属さない障害者・障害児であることにも鑑み、小規模モニター調査の複数実施や現場の教育関係者からの意見聴取を柔軟に活用する。 重度視覚障害者(点字使用者)のためのCBTシステムに関して別途のシステム開発が必要である可能性について。この認識自体は本研究が提出する新知見といえるが、重度視覚障害者のためのCBTシステムを別途開発することになる場合には本研究の課題を増大させるものでもある。そのため、トータルな研究進捗を確保する上で一層吟味する必要のある論点として注視する。また別途開発する場合でも、アイテムバンクに格納する設問データそのものは既に整備したものを流用し形式の修正・追加属性の付与に作業を縮減する方法を検討する。
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