研究課題/領域番号 |
21H04424
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕之 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40243977)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 暗点 / 錯視 / フィリングイン / 緑内障 / saltation錯視 / ポストディクション / 網膜 / 両眼統合 / 検査 / 視覚的補間 / 盲点 / 知覚的補間 / 奥行き知覚 |
研究開始時の研究の概要 |
眼には盲点や網膜上の血管のように、見ることに対して生理学的な不都合が存在するが、逆に脳において、時空間的に柔軟で知的な情報処理を行うことにより、ゆがみや欠損のない視覚的世界を作り上げている。しかし逆にその仕組みのために、網膜の病変の兆候である視野のゆがみや欠損に気づきにくく、深刻な視覚障がいを有する高齢者の増加が問題となっている。本研究では、欠損やゆがみを補う人間の視覚システムの基礎心理学的研究と、それを元に、網膜の病変の早期発見につながる心理物理学的検査の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
網膜病変による視野の異常な見えはしばしば気づかれずに、病変の発見を遅らせることにつながる。本研究では、異常な見えを補正するメカニズムを明らかにする。2023年度は、以下の項目について研究を行った。1)視覚的saltation錯覚において、フラッシュを3回水平あるいは垂直方向に位置をずらして提示する際に、第2フラッシュの知覚的位置は、その実際の提示位置によらず、第1および第3フラッシュの中間に知覚される傾向が示され、そのメカニズムとしてポストディクションの可能性を明らかにした。この結果は海外のジャーナルに投稿した(2024年4月受理)。2)トランジェントによる視覚対象の知覚的消失現象についてそのトリガーが輝度コントラストの変化なのか、あるいは対象の表象の消失なのかを調べる実験を行い、カニッツァタイプの主観的輪郭の消失では知覚的消失現象が起こらないことを確認し、前者を支持した。この結果は論文投稿中である。3)両眼あるいは単眼へのターゲット提示時のターゲット検出実験を行った。検出閾値は、ターゲットが背景に対して輝度が高いか低いか、背景の輝度が高いか低いかによって変化し、両眼による情報の統合過程の特性を反映していると考えられた。4)網膜病変のために視野内に歪みがある方を対象にして、ランダムドット等の刺激を用いてその歪みが見えやすいあるいは見えにくい刺激条件の予備調査を行った。その結果、アムスラーチャートでは歪みが確認できても、細かいテクスチャでは歪みが見られず、スクロールする刺激においても歪みが見えにくくなることが示唆された。5)両眼立体視によって凹の情報をもつ画像において、他の奥行き手がかりによって凸に見える現象を発見し、両眼立体視の情報が他の奥行き手がかりによって補正されることを示し論文として投稿した(2024年4月受理)。2024年度はこれらをさらに深化させた研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ポスドクの着任が2年目からになった際の遅れがまだ少しだけ残っているが、本年度中に予定されたスケジュールに追いつく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
特に問題点や変更点はない。今年度は、論文の投稿とさまざまな被験者を対象とした実験に重点をおいて行っていく予定である。
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