研究課題/領域番号 |
21H04440
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関 真一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70598599)
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研究分担者 |
有田 亮太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80332592)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2021年度: 23,530千円 (直接経費: 18,100千円、間接経費: 5,430千円)
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キーワード | スピントロニクス |
研究開始時の研究の概要 |
現在の磁気記憶素子で用いられている、スピンが平行に整列した強磁性体では、時間反転対称性の破れに起因して、磁気情報の保持・読み出し・書き込みが可能となっている。一方、スピンが反平行に整列した反強磁性体の場合、通常は時間反転対称性が保たれており、強磁性体と同様のアプローチによる情報処理は不可能である。しかし最近の理論研究によると、特殊な結晶構造を利用すれば、実は単純な反平行スピン構造であっても時間反転対称性を破れることがわかっている。本研究では、後者に該当する物質群を集中的に開拓することで、強磁性体が従来担ってきた様々な物質機能を、時間反転対称性の破れた反強磁性体で代替することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、これまで実験的に未開拓だった時間反転対称性の破れた反強磁性体の集中的な探索を行うとともに、その特異な仮想磁場の存在から期待される様々な物質機能(通常の反強磁性体では不可能と考えられてきた「↑↓」「↓↑」状態の電気的な読み出し・書き込み等)を実証することを目指している。本年度は、このような機能を実現する新物質を設計するための一般的な指針を確立するため、群論に基づく網羅的・系統的な対称性の解析と、物質構造データベースと照らし合わせた具体的な候補物質の抽出を行った。この結果をもとに、実験的な物質合成・磁気輸送特性の評価を進めた結果、当初の狙い通り、時間反転対称性の破れに起因した異常ホール効果を室温で生じる、新たな反強磁性物質を発見することに成功した。さらに、関連して第一原理計算を行った結果、この物質中では時間反転対称性の破れた反強磁性秩序相において、ベリー曲率の総和がキャンセルせずに生き残ることで仮想磁場の役割を果たし、これが異常ホール効果の起源となっていることが明らかになった。上記の結果は、対称性に立脚した物質設計指針が非常に有効に機能することを示しており、今後さらに巨大な応答を示す新物質の開拓が期待される。また、室温動作可能な新物質の発見は、強磁性体中の磁化が従来担ってきた様々な物質機能を反強磁性体中の仮想磁場によって置き換えた、反強磁性スピントロニクスの実現可能性を強く示唆しており、電気的・光学的なアプローチを通じた更なる制御手法の開拓も期待できると考えられる。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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