研究課題/領域番号 |
21H04441
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
益田 隆嗣 東京大学, 物性研究所, 准教授 (90313014)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
41,210千円 (直接経費: 31,700千円、間接経費: 9,510千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 24,570千円 (直接経費: 18,900千円、間接経費: 5,670千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
|
キーワード | 中性子散乱 / 準粒子 / 中性子分光器 |
研究開始時の研究の概要 |
固体物理学の新しい概念と現象を内包する量子物質は、スピントロニクスや量子コンピュータへの応用の可能性と、素粒子物理学から物性物理学へのアプローチという学問的興味から、国際的に競争の激しい研究対象となっている。そこで本課題では、研究用原子炉JRR-3において次世代高効率分光器を開発・製作し、分光器の水準を世界レベルに押し上げる。さらにこれを用いて量子物質の準粒子構造に関する重要課題、とりわけ非定常状態の準粒子構造、準粒子寿命、トポロジカル準粒子構造の謎を解明し、新現象の発見・解明と新概念の創出を行う。
|
研究実績の概要 |
物性物理学の大きな目標の一つは、物質のありのままの姿を原子レベルのミクロな眼で見ることである。静的な構造については、電子顕微鏡やコヒーレントX線回折の進歩により、ナノスケールの実空間観測が現実のものとなってきた一方で、動的な構造についてはまだ課題が多い。そこで本研究課題では、先進的な中性子分光器を製作し、量子物質の準粒子構造を広い波数空間において探査することにより、物質の動的構造の実空間観測に近づくことを目的としている。昨年度の計画は、研究用原子炉JRR-3のC1-1ビーム孔に設置されたInverse Rowland Image Spectrometer (IRIS)型分光器HODACAのコミッショニングを行い、性能確認を行うことであった。これにあたり、まず測定制御ソフトの開発を行った。従来型分光器ソフトを拡張することにより、円滑な測定を可能とするソフトが完成した。次に標準試料を用いた性能試験を行い、完成したHODACA分光器がおおむね設計どおりの性能を示すことを確認した。さらにフラストレート磁性体CsFeCl3の磁気励起のテスト測定を行ったところ、先行研究を再現するデータが測定された。これにより、当該分光器が期待通り非常に高い測定効率を持つことが確認された。解析ソフトは、CsFeCl3のテスト測定と並行して暫定版が開発された。世界で最初のIRIS型分光器HODACAが建設されほぼ予定通りの性能を発揮したことは高く評価されるべきであり、今後、HODACAを用いて多くの物質の測定が行われ、磁性・強相関電子系分野の進歩に貢献することが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究用原子炉JRR-3のC1-1ビーム孔に設置されたHODACA分光器のコミッショニングが計画通りに行われ、想定された性能の確認がなされたため。
|
今後の研究の推進方策 |
中性子光路に中性子吸収体を設置することにより、バックグラウンドを低減し、高いS/N比を実現する。解析ソフトの改良を行い、ユーザーフレンドリーなものとする。その上で、フラストレート磁性体の準粒子観測を行い、磁性・強相関電子系分野の進歩に貢献する。
|