研究課題/領域番号 |
21H04446
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
柚木 清司 国立研究開発法人理化学研究所, 量子コンピュータ研究センター, チームリーダー (70532141)
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研究分担者 |
松枝 宏明 東北大学, 工学研究科, 教授 (20396518)
上田 宏 大阪大学, 量子情報・量子生命研究センター, 准教授 (40632758)
曽田 繁利 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 技師 (60466414)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 量子計算 / 量子多体系 / 量子-古典ハイブリッド計算 / 量子コンピューティング / 量子-古典ハイブリッド法 |
研究開始時の研究の概要 |
現在~数年後に利用可能な数十~数百qubitを有するNIQSデバイスを想定し、物性物理を主にした量子多体系に対する多項式的な計算リソースで実行できる量子-古典ハイブリッド量子アルゴリズムを開発する。開発した量子アルゴリズムの優位性を、古典計算機によるシミュレーションで検証し、さらに量子計算機実機を用いた実験で実証する。古典計算機では取り扱いが難しいキャリア注入した二次元ハバード模型や幾何学的フラストレーションがある量子磁性体などを対象にすることで、物性物理学においてインパクトがある研究を展開すると同時に、量子優位性がある問題を明らかにすることで量子計算機実機開発のマイルストーンを提供する。
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研究実績の概要 |
量子制御技術の急速な進展により、ノイズはあるものの現在では100量子ビット程度、数年後には数百~千量子ビットを有するゲート型量子計算機が実現し、しかも古典計算機に比べて優位性を示す意味のある量子計算が現実味を帯びてきた。本研究では、ノイズがあるゲート型量子計算機の量子計算能力を有効活用する量子-古典ハイブリッド法に基づく量子多体問題に対する量子アルゴリズムを開発し、実際に物性物理学を主とした問題に展開することを目指す。量子-古典ハイブリッド法として、独自の変分原理に基づく変分量子アルゴリズムと変分法を超えた量子アルゴリズムの開発により、既存の量子-古典ハイブリッド法の困難を克服する。さらに、開発した量子アルゴリズムの優位性を、古典計算機を用いたシミュレーションにより検証し、量子計算機実機を用いた実験により実証することを目標とする。本研究により、我国の物性物理学領域における量子計算研究を開拓すると同時に、本領域に量子計算コミュニティーを形成し、量子計算研究の将来を担う若手研究者の育成を図る。本年度は、量子多体系に対する量子アルゴリズムをいくつか提案した。例えば、磁場を印加したToric code模型の基底状態に対して独自の変分量子回路「weight-adjustable quantum loop gas」を提案し、古典計算機を用いたシミュレーションによりその精度を検証した。その結果、brick-wall型など他の変分量子回路を用いた場合と比べて、回路が短く精度良く基底状態を記述できることがわかった。特に、磁場の大きさをゼロから大きくしていくと、基底状態はスピン液体状態から強磁性状態に転移するが、その振る舞いを定量的に再現できることがわかった。また、研究会「物性研究のための量子アルゴリズム最前線」をハイブリッド形式で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に本研究課題で雇用のポスドクの着任が遅れたが、量子アルゴリズムの開発を先に行うなどして、研究計画としては概ね順調に進展している。特に、今年度は、上述の他に、ミクロカノニカル状態に対する熱力学平均を行う独自の量子アルゴリズムや、ハバード模型に対するcouterdiabaticな量子計算などの成果が出た。特に、前者においては、量子化学分野で知られている古典計算アルゴリズム「filter-diagonalization」のアイデアを活用したもので、ミクロカノニカル状態に対するthermal pure quantum stateに対応する。後者では、counterdiabatic量子計算は、これまで主に量子スピン模型に対して行われていたが、本研究では、その方法を初めてdermion系ハバード模型に展開した。さらに、大阪大学Gとの共同研究として、量子スピン系に対する古典計算シミュレーションソフト「QS3」も発表した。これは、U(1)対称性が保たれた場合の高磁化の状況に対するLanczos法であり、今後、量子アルゴリズムの検証等で利用予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降も引き続き新しい量子アルゴリズムの提案を行なっていく。同時に、100量子ビット級の量子計算機実機が使える状況において、それを近似的にでも取り扱えるで量子計算シミュレーション法の開発が不可欠である。まずは、テンソルネットワーク法の一つである、行列積状態(matrix product state, MPS)法を用いた量子計算シミュレーションを開発し、その性能を評価する予定である。それを用いて、VQEやQAOAなどの量子変分アルゴリズムに対するスケーラビリティの検証を行う。現在、量子変分アルゴリズムの有用性が議論になっており、非常に重要な課題の一つである。また、量子計算機実機を用いた量子計算を実施し、提案した量子アルゴリズムの実現性を検証する。
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