研究課題/領域番号 |
21H04450
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺嶋 和夫 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (30176911)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2022年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2021年度: 16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
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キーワード | プラズマプロセス / 複合材料 / 液中プラズマ / 環動高分子 / 電界配向制御 / フェムト秒レーザー誘起アクアプラズマ / タフコンポジット / 先端アクアプラズマ複合材料プロセス / クライオプラズマ / 超臨界流体プラズマ / アコーステイックエミッション / その場SEM観察 / アクアプロセス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では 、コロイド系液中プラズマプロセスなどの先端アクアプラズマプロセスにより表面処理をした無機フィラー粒子と環動高分子との複合化を通じ、機能性と柔軟を兼ね備えた革新的な強靭フレキシブル複合材料の創製を目指す。本研究により、無機フィラー粒子の分散性向上、環動高分子と無機粒子との接合界面制御(親和性向上)の高度化、を達成し、無機フィラー粒子が均一分散し、環状分子と親和的な結合をした、応力集中フリーの高い力学物性と機能物性を有する、革新的な強靭フレキシブル複合材料の創製を、その材料設計指針の構築と合わせて進める。具体的には、高熱伝導性の強靭フレキシブル複合材料などの開発を行う。
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研究実績の概要 |
本プロジェクトの3年目にあたる2023年度は、無機フィラー粒子として、高い熱伝導度を誇る六方晶窒化ボロン(hBN)を用い、高い熱伝導性と強靭性を有した高熱伝導性フレキシブル複合材料の開発をプロセス、構造・組織、物性の相関関係の理解を目指し研究を進め、主に以下の2つの研究成果を収めた。①コンポジ、面にット作製時に、電界印加による組織制御を行い、フィラーhBNにおいて高い熱伝導率を誇るab面内方向を、最終的な面状の複合材料の面に垂直方向に配向させる言う組織制御に成功し、面に垂直方向(膜厚方向)に10W/mKの熱伝導率を超える高熱伝導性の柔軟性(ヤング率60MPa以下)ゴム材料の作製に成功した。②水中に分散したフィラー用hBN粒子を改質するためにフェムト秒レーザーパルスを採用し、hBN粒子のサイズ縮小と表面改質に対するフェムト秒レーザープロセス(レーザー誘起アクアプラズマプロセス)の効果を評価した。シャドウグラフ・イメージングにより、hBN分散水中の反応性環境の形成が明らかになった。hBN粒子径の評価から、60分の照射で160nmから110nmに全体的に減少し、5~10nmのナノドットが生成することが示唆された。また、レーザー照射後にゼータ電位の高い粒子が増加することが確認され、表面状態の変化が示唆された。その結果、レーザー照射した試料では、水中でのhBN粒子の分散時間が大幅に増加し、少なくとも1桁の改善が見られた。本研究は、水中でのhBN粒子のサイズと分散性に影響を与える反応場の形成の実証を示すものである。またオンライン粒径モニターシステムの構築も進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文発表をコンスタントに進めるとともに本プロジェクト関連の学会発表が講演賞を受賞するなど、着実な研究プロジェクトの推進とその成果の公表、高い評価をうけており、プロジェクト全体としておおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究プロジェクトの最終年度にあたる2024年度も引き続き、無機フィラー粒子として、高い熱伝導度を誇る窒化ボロン(BN)に加え、窒化アルミ(AlN)などを用いた、高熱伝導性と強靭性を有した、高熱伝導性フレキシブル複合材料の開発を以下のように進める。 ①プロセス開発・診断: コロイド系液中プラズマプロセスやキャビテーションバブル援用プラズマプロセス、クライオプラズマプロセスなどを用いた、無機フィラー粒子の表面処理を行い、それをフィラーとして用いたタフ複合材料の創製に取り組む。また昨年度に本格的に再開したフェムト秒レーザー誘起アクアプラズマプロセスも引き続き推進する。プラズマ診断とそのプロセス制御への展開に注力する。 ②表面処理を施した無機フィラー材料の評価: 引き続き、プラズマ表面処理後の無機フィラー粒子は、フーリエ変換赤外分光法やX線光電分光分析、ラマン分光、電子スピン共鳴法などにより結合状態、欠陥状態を、X線回折、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡などを用いた構造組織観察を行う。また、動的光散乱を用い、架橋前溶液における分散性などの評価も行う。 ③タフ複合材料(コンポジット)の構造と物性の評価: X線トモグラフィー法(X-CT)や走査電子顕微鏡(SEM)観察によりより構造評価を行うと共に、熱伝導率などの機能特性、無機フィラー粒子と高分子との界面での運動性の評価のため核磁気共鳴法(NMR)による動的構造解析、などを試み、機能性と機械的力学特性、とりわけ今年度は疲労特性(繰り返し特性)の両者を兼ね備えた複合材料の設計指針の検討を進める。 以上の研究を通じて、それらのプラズマパラメータと、無機粒子の表面改質、分散性などとの相関性、最終的に、複合材料の構造と物性との相関を明らかにし、高機能フレキシブル複合材料の設計指針の構築の総まとめを進める。
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