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レーザーと磁場の融合による高エネルギー密度プラズマの閉じ込めへの挑戦と応用

研究課題

研究課題/領域番号 21H04452
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分14:プラズマ学およびその関連分野
研究機関京都大学

研究代表者

岸本 泰明  京都大学, エネルギー科学研究科, 名誉教授 (10344441)

研究分担者 時田 茂樹  京都大学, 化学研究所, 教授 (20456825)
福田 祐仁  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 関西光量子科学研究所 光量子ビーム科学研究部, 上席研究員 (30311327)
深見 一弘  京都大学, 工学研究科, 准教授 (60452322)
松井 隆太郎  京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (70870476)
今寺 賢志  京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (90607839)
井上 峻介  京都大学, 化学研究所, 助教 (40724711)
研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
40,950千円 (直接経費: 31,500千円、間接経費: 9,450千円)
2025年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
キーワード高強度レーザーと物質との相互作用 / 高エネルギー密度プラズマ / 自己組織化 / 高強度磁場生成 / プラズマの閉じ込め
研究開始時の研究の概要

本研究の概要は、ナノ工学と材料工学の融合技術によって作成したサブミクロンメートルサイズでデザインした微細構造を持つ媒質とフェムト秒オーダーで制御した極短パルス高強度レーザーの相互作用により、相対論的な電子とイオンおよび広帯域の電磁場が結合した高エネルギー密度状態のプラズマを生成するとともに、プラズマに備わった自己組織化機能を利用・制御することで慣性時間を超えてこれを長時間閉じ込めること、このプラズマを共通の研究プラットホームとして、陽子・ホウ素核融合反応をはじめとした応用研究を展開することである。

研究実績の概要

本研究は、「高強度磁場で支配される新しい極限物質状態の実現」と「水素・ホウ素核融合を含む新領域の応用研究の展開」を目的として、集光強度領域10^18-22 W/cm^2を実現する近年の極限レーザー技術、マイクロメートルオーダでの精緻な物質のデザインを可能にするナノ工学技術、強非線形で支配される高エネルギー密度科学、生命の複雑な構造の起源を解明する自己組織化科学などを融合することで、10-100 kTの超高強度磁場生成を伴う制御された高エネルギー密度プラズマの生成とプラズマの自己組織化機能を利用した慣性時間を越えての閉じ込め状態の実現・検証を目指している。この目的のもと、R4・R5年度は以下の研究を推進した。
(1)構造性媒質の特性に関する理論・シミュレーション研究:構造性媒質と高強度レーザーを照射する2次元粒子シミュレーションを実施し、レーザー生成高エネルギー密度プラズマの慣性時間を超えての保持を実現するターゲットのパラメータ領域を明らかにした。
(2)構造性媒質の作製:R3年度までの研究において、シリコンロッド集合体の作製手法を開拓したことを踏まえ、高アスペクト比のロッド集合体を高い精度で作製する技術の開発に着手し、半径がサブマイクロメートルオーダでアスペクト比が40-50に及ぶロッド集合体の作製に成功した。
(3)高強度レーザー照射実験の実施:構造性媒質へのレーザー照射で生成されるプラズマの特性を理解することを目的に、CNT(カーボンナノチューブ)およびロッド集合体に10^18-19 W/cm^2 領域の高強度レーザー(京大化研T6)を照射する実験を実施し、電子のエネルギースペクトル取得することで、ターゲットの微細構造により生成するプラズマの電子温度と空間分布特性を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

R4・R5年度は、レーザー波長オーダのサブマイクロメートルサイズの微細構造を付与した物質(構造性媒質)に、集光強度が10^18-19 W/cm^2領域の高強度レーザーを照射することで、生成した高エネルギー密度プラズマを慣性時間を超えて閉じ込める手法の開拓を目的として、以下の成果を得た。
(1)構造性媒質の特性に関する理論・シミュレーション研究:本課題では、構造性媒質として、直径がサブマイクロメートルオーダで高さが数10マイクロメートルの円柱状シリコンからなるロッド集合体を選択し、これに高強度レーザーを照射する2次元粒子シミュレーションを実施した。その結果、ターゲットを適切に設計することで、プラズマの自己組織化機能を引き出し、これを保持する機能を有するkTオーダの準定常強磁場が生成することを明らかにした。
(2)構造性媒質の作製:本年度は、R4年度までに確立したプラズマエッチング技術を基礎に、より精緻にターゲットを作製するため、リソグラフィー工程において従来のネガ型からポジ型に変更した。これにより、作製に要するコスト(時間・費用)の大幅な削減に成功し、基板の汚れに起因する不完全なエッチング問題を解決し、ターゲットを精緻に作製する技術を確立させた。さらに、ロッド集合体のアスペクト比を極限まで大きくした物質としての位置付けでCNTを導入した。
(3)高強度レーザー照射実験の実施:京大化研の高強度レーザーT6(10^18-19 W/cm^2 領域・パルス幅40fs)を用いて、CNTおよび作製したロッド集合体との相互作用実験を実施した。R4年度に作製した、京大化研所有の電子スペクトルメータ(ESM)と同等の機能(測定エネルギー領域・分解能)を有するESM用いて、電子のエネルギースペクトルを2方向から同時計測し、生成プラズマの電子温度と空間分布特性を明らかにした。

今後の研究の推進方策

2022年度(2023年度への繰越分を含む)の成果に基づいて、2024年度以降は以下の研究を推進する。
1) 2021年度において行ったCNT照射実験で得た結果を検証するため、照射レーザーの品質を向上する実験環境を構築するとともに(後述)、電子エネルギースペクトルの角度依存性などを取得する精緻な実験研究を実施する。また、方向性を有するCNTターゲット構造をモデル化した2次元および3次元の相互作用シミュレーションと実験結果の比較検討を行うことにより、極限状態の構造性媒質としての方向性を有するCNTターゲットの特性と役割を解明する研究を進める。本研究で得た知見を基礎に、ファイバーレーザーなどを想定した体内組み込み型の放射線デバイスの可能性に関する基礎研究にも着手する。2)上述1)に関連して照射レーザーの時間的・空間的な品質を向上するため、レーザー照射系にプラズマミラーなどを導入することでプレパル成分やペデスタル成分を除去・制御する研究に着手する。また、構造性媒質の特性を優位に引き出すため、ビーム断面の一様性を保ちつつ高い照射位置安定性を有するレーザーを広域に照射する方策の検討も進める。また、これまで作製した多様なロッド集合体と高強度レーザーの相互作用実験を行い、慣性時間を越えたプラズマの閉じ込めに向けた研究に着手する。また、これを行うために不可欠な生成プラズマのダイナミックスや構造を同定するための密度干渉計測および磁場計測に関する研究にも着手する。また、2021年度に作製に成功したレーザー光を閉じ込める機能を有するメタマテリアル様のターゲットを用いたレーザー照射実験を行い、高強度磁場を伴ったプラズモイドの生成、それらの衝突・合体過程を通した反転磁場配位プラズマの生成など、高エネルギー密度プラズマの閉じ込めに関する研究を開始する。

報告書

(3件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Gyrokinetic entropy balances and dynamics in toroidal flux-driven ITG turbulence2021

    • 著者名/発表者名
      Muto Mikiya、Imadera Kenji、Kishimoto Yasuaki
    • 雑誌名

      Physics of Plasmas

      巻: 28 号: 8 ページ: 082304-082304

    • DOI

      10.1063/5.0056058

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高強度レーザーと構造性媒質の相互作用による高エネルギー密度プラズマの生成と保持 2.T6レーザー実験によるプラズマ生成過程と電子スペクトル2023

    • 著者名/発表者名
      松井隆太郎、林直仁、石原聖也、升野振一郎、井上峻介、橋田昌樹、時田茂樹、阪部周二、岸本泰明
    • 学会等名
      レーザー学会学術講演会第43回年次大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Generation of HED plasma regulated by magnetic field from structured medium -Simulation and experimental study-2022

    • 著者名/発表者名
      R. Matsui, M. Ota, Y. Fukuda, Y. Sakawa and Y. Kishimoto
    • 学会等名
      HEDS2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of a low-density stacked CNT targets and generation of high-pressure gas by the high-power laser irradiation2022

    • 著者名/発表者名
      R. Matsui, Y. Kishimoto, M. Hashida, S. Masuno, Y. Sakawa, K. Fukami, S. Higaki, and K. Matsuda
    • 学会等名
      The 13th International Symposium of Advanced Energy Science
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 相対論プラズマにおける磁化率の相違によるHモード様電場の形成と閉じ込め2022

    • 著者名/発表者名
      松井隆太郎、桧垣慎太郎、岸本泰明
    • 学会等名
      第39回 プラズマ・核融合学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 波長オーダの構造性ターゲットを用いた高強度レーザーの非線形伝播・吸収特性とバルクプラズマの制御2022

    • 著者名/発表者名
      松井隆太郎、石原聖也、林直仁、岸本泰明
    • 学会等名
      日本物理学会2022年秋季大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 高強度レーザーによる平板固体水素中での非線形波動の励起と分岐による相対論的ロケット加速2022

    • 著者名/発表者名
      松井隆太郎, 岸本泰明
    • 学会等名
      日本物理学会第77回年次大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Study of internal transport barriers based on flux driven global toroidal system2022

    • 著者名/発表者名
      Y. Kishimoto
    • 学会等名
      H-mode transition and pedestal studies in fusion plasmas
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 高強度レーザーと波長オーダの構造性ターゲットとの非線形相互作用特性2021

    • 著者名/発表者名
      松井隆太郎, 上田永樹, 太田雅人, 福田祐仁, 坂和洋一, 岸本泰明
    • 学会等名
      日本物理学会2021年秋季大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] 高強度レーザー生成相対論プラズマにおける非線形波動の励起・分岐と粒子加速のトリガー2021

    • 著者名/発表者名
      岸本泰明, 松井隆太郎, 福田祐仁, 今寺賢志
    • 学会等名
      日本物理学会2021年秋季大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] High energy density plasma produced by the interaction between high intensity laser and structured medium -A new platform studying magnetic confined plasmas using laser-2021

    • 著者名/発表者名
      Y. Kishimoto, R. Matsui and K Imadera
    • 学会等名
      International Conference of High Energy Density Sciences 2021 (HEDS2021)
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2025-04-17  

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