研究課題/領域番号 |
21H04456
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
花田 和明 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (30222219)
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研究分担者 |
大宅 諒 九州大学, 総合理工学研究院, 助教 (10804750)
中村 浩章 核融合科学研究所, 研究部, 教授 (30311210)
齋藤 誠紀 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (40725024)
草場 彰 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (70868926)
四竈 泰一 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80456152)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2021年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
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キーワード | 燃料粒子循環 / 核融合炉 / 炭素ポンプ / 第一原理計算 / 分子動力学 / 水素リサイクリング / 高速試料搬送装置 / アモルファス炭素 / 再堆積層 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの核融合炉研究では炭素壁とプラズマ性能との高い親和性は認知されつつも、放射化の制限から金属壁への変更が進められてきた.これまでの実験結果から金属プラズマ対向壁では再堆積層と母材間に水素バリアが存在することが発見され、金属表面を能動的に制御することで炭素の特性を活かしつつ放射化を制限する可能性が見出された. 本研究では、プラズマに炭素を添加“炭素ドープ”することで対向壁全体に炭素再堆積層を能動的に形成しつつ、炭素の付着確率の高い150℃以下の低温壁で炭素を回収する“炭素ポンプ”を設置して、滞留する炭素量を制限し、水素同位体の吸蔵量を一定値以下に抑えるシステムを構築する.
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研究実績の概要 |
これまでの核融合炉研究では炭素壁とプラズマ性能との高い親和性は認知されつつも、放射化の制限から金属壁への変更が進められてきた.QUESTの実験結果から金属プラズマ対向壁では再堆積層と母材間に水素バリアが存在することが発見され、金属表面を能動的に制御することで炭素の特性を活かしつつ放射化を制限する可能性が見出された. そこで本研究では、課題解決の方法として、プラズマに炭素を添加“炭素ドープ”することで対向壁全体に炭素を含有する再堆積層を能動的に形成しつつ、炭素の付着確率の高い150℃以下の低温壁で炭素を回収する“炭素ポンプ”を設置して、プラズマ容器内に滞留する炭素量を制限し、放射化が問題になる水素同位体の吸蔵量を一定値以下に抑えるシステムの構築を提案し、実証する. 分子動力学(MD)による素過程計算と基礎実験的検証では、炭素中の水素のポテンシャルを第一原理計算で計算することは完了した。結果を論文として投稿予定である。炭素ポンプの開発では、開発を完了しQUEST本体への設置が完了した。高温壁400℃で、試料温度は150℃以下となる予定である。既設高速試料搬送装置 (FESTA)では、プラズマ暴露したSS316L試料の放出ガスが堆積層の有無で放出束が10倍近く異なる原因を究明するために表面分析を行い、GD-OESやTEM観察から水素の深さ分布を計測したところ100nm程度から水素の分布が減少すること、および堆積層厚さが65nm程度であることから水素バリアが形成されていることが確認され、水素バリアモデルを用いた解析で放出束の増大が説明できた。この結果について論文投稿を行う予定である。炭素ポンプのQUEST本体への設置後、プラズマ暴露を行い、炭素補修量を定量的に計測する予定である。2024年度には炭素ポンプの性能を確認したうえで、炭素ドープの実機実験を実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)第一原理計算によるアモルファス炭素の生成が検証できた。結晶炭素で実施している分子動力学(MD)による素過程計算を堆積層の状況に近いアモルファス実施できる環境が整った。2)炭素ポンプの開発は完了した。3)既設高速試料搬送装置 (FESTA)による炭素・水素循環評価の準備は完了している。水素循環については堆積層付きの試料と無垢の試料の差を有意に計測できている。4)炭素ポンプの回収効率評価は炭素ポンプのQUEST実機への設置が完了し、炭素の堆積量の評価を行える準備が整った。5)炭素ドープを行うためには、炭素ポンプの回収効率評価が必要で、十分な炭素回収能力があることが分かり次第、実機による炭素・水素粒子循環制御実験を行える環境が整った。
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今後の研究の推進方策 |
研究は1)分子動力学(MD)による素過程計算と基礎実験的検証、2)炭素ポンプの開発、3)既設高速試料搬送装置 (FESTA)による微量炭素ドープによる炭素循環評価、4)炭素ポンプの回収効率評価、5)実機による炭素・水素粒子循環制御実験のステップで進める. 2024年度は1)ではアモルファス炭素中の水素のポテンシャルを第一原理計算で計算し、引き続きMD計算への適用を進める。2)は2023年度に炭素ポンプの開発を完了し、炭素ポンプをQUEST本体に設置した。実験は2024年4月に実施予定で、SS316L製の試料表面に堆積する堆積層の成分や炭素含有率等のデータを取得する。QUESTの高温壁は400℃で炭素ポンプは150℃以下に維持される予定で、試料は常に冷却され、試料温度は試料設置時からモニタされている。3)FESTAによる水素循環に関する観測結果をまとめて論文投稿を行う予定である。FESTAでプラズマ暴露したSS316L試料の放出ガスが堆積層の有無で放出束が10倍近く異なることを見出した。これは炭素ポンプによる水素循環制御の可能性を確認する結果となった。引き続き、FESTAでの計測を実施して璧温程度の試料と炭素ポンプの試料の炭素蓄積量を比較することで炭素ポンプの定量的な評価に役立てる予定である。4)については2024年4月の実験で炭素ポンプによる炭素回収率を計測する予定である。5)については4)の結果を確認して次年度で実施する予定である。
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