研究課題/領域番号 |
21H04467
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉山 直 名古屋大学, 理学研究科, 総長 (70222057)
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研究分担者 |
市來 淨與 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10534480)
大内 正己 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40595716)
高橋 慶太郎 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (80547547)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
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キーワード | 宇宙再電離 / 最初期星形成 / 構造形成 / 21㎝線放射 / 21cm線放射 / 宇宙磁場 / 初代天体 / 宇宙論 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙では誕生後およそ1億年頃に、最初の星が誕生したと考えられている。しかし未だこの最初の星を直接観測した例はなく、この「宇宙の夜明け」の時期に、どのように宇宙全体に星や銀河が誕生していったのか、その詳細については全くわかっていない。本研究計画では、宇宙に漂う水素を主な成分としたガスが、最初に誕生した星々からの紫外線によって電離(プラズマ化)する過程を、電波観測によって観測することで、宇宙の夜明けの解明に迫る。具体的には、オーストラリアにある電波望遠鏡群MWAを用い、水素が出したり吸収したりする電波を観測し、その結果を数値シミュレーションと比較することで、宇宙の夜明けの物理過程を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究計画はオーストラリアの低周波電波干渉計実験であるMWAに参加し、世界初の宇宙再電離期からの中性水素21cm線シグナル検出を目指すものである。特にすばるHSCのLAEを用いた相互相関、および明るい背景天体からの吸収線(21cm forest)を用いて前景放射の影響を軽減し、検出を目指すことに特徴がある。今年度の研究実績概要は以下の通りである。 昨年度推定した、将来の21cm forest観測を想定したCDMサブストラクチャーの影響を見積もりについて、流体数値計算をもちいて、ガスの加熱、ラム圧や力学摩擦によるガスの剥ぎ取り効果など詳細について計算を行った。結果をまとめ論文として投稿中(Naruse et al., eprint arXiv:2404.01034)である。また、宇宙再電離期の小スケールと大スケールを合わせたハイブリッド模擬データ作成のため、オーストラリアメルボルン大学の研究者と共同研究を開始した。 相互相関関係では、昨年度から行なっているLyα emitterのサンプル構築を続けた。すばるHSCのSSP探査データだけでなく、CHORUS探査データを加えることで、赤方偏移6-7で得られているすばるHSCの主要データのほぼ全てを含めて、サンプルの最大化を図った。これらのサンプル構築を完了し、査読論文誌に出版した(Kikuta et al., ApJS, 2023)。これらと並行して、MWAを用いた宇宙再電離21cm線観測の検討を行った。 加えて、昨年度から引き続き低周波電波望遠鏡MWAで宇宙再電離期の中性水素21cmの検出を試みている。特にRFIなどの雑音や前景放射の除去、較正手法の研究開発を行った。さらに電波望遠鏡を用いたパルサータイミングアレイの研究(Kato & Takahashi, PRD, 2023)や太陽系外惑星からの電波放射に関する観測的研究(Shiohira et al., MNRAS, 2024)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本科研費による貢献により、オーストラリアで実施されているMWAプロジェクトへの参加が引き続き認められている。相互相関関係では、すばるHSCの広領域深撮像観測が完了し、ほぼ全てのHSC観測データを用いてLyα emitterのサンプルの再構築を行なっている。低周波電波望遠鏡MWAでの観測についてはシグナル検出の障害となる微弱な人工電波を同定するために、観測で得られた時系列データの非ガウス性を利用するアルゴリズムの開発を行なっている。理論面では、21cm線シグナルの小スケールでの精密なモデリングと宇宙論スケールでの大規模構造とハイブリッドで合成する道筋が立ちつつあるところである。最新のMWAデータを用いた解析や、前景放射や人工電波除去アルゴリズム開発、低周波電波と相互相関を取るためのライマンアルファ輝線銀河分布のデータ整備についても論文を出版するなど着実に進められていて、概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに引き続き、MWAによる低周波電波データの系統誤差の削減とノイズ・前景放射除去アルゴリズムの開発を行い、世界初の宇宙再電離期からの中性水素21cmシグナルの検出を目指す。相互相関の関連研究では、これまでに取り組んできて作成した赤方偏移6-7で得られているすばるHSCの主要データのほぼ全てを含めたLyα emitterのサンプルを用いて、中性水素21cm強度マップとの相互相関研究を開始する。MWAによる中性水素21cm線観測の関係では、データ取得とともに、引き続き前景放射や人工電波除去アルゴリズム開発を並行して行っていく。理論に関する研究では、メルボルン大学の大規模なデータに私たちの小スケールモデルを組み合わせ、再電離期21cm線の精密かつ大スケールのデータ作成を行う。進捗によっては、名古屋大学の大学院生とともにメルボルン大学を訪問し、詰めて滞在して共同研究を推進することも検討していく。
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