研究課題/領域番号 |
21H04468
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田島 宏康 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (80222107)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 宇宙線 / 宇宙物理 / ガンマ線 / 放射線 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代ガンマ線観測装置であるCTAの小口径望遠鏡によって、10兆電子ボルト以上での宇宙ガンマ線観測のエネルギーフロンティアを切り拓く。我々が中心となって開発を推進した新型の半導体光センサーによって可能となる月夜観測を実現することで、10兆電子ボルト以上で感度2倍の向上を達成する。CTAの初期観測において、宇宙線起源候補天体や銀河中心近傍のスペクトルを初めて数百兆電子ボルトまで測定することで、未解決であった銀河系宇宙線の起源をつきとめる。また、銀河中心近傍の長時間ガンマ線観測は、陽子の10万倍程度の質量までの素粒子暗黒物質の対消滅で放射されるガンマ線を検出できる感度を実現する。
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研究実績の概要 |
我々のグループは、CTA小口径望遠鏡に採用された半導体光電子増倍素子の開発、調達、較正に責任を持つ。小口径望遠鏡カメラの最終設計において、半導体光電子増倍素子の増幅セルの大きさは、増幅率や光検出効率、クロストーク、消費電力などに影響するため、一番重要な仕様項目である。75ミクロンの増幅セルは、50ミクロンより10%高い光検出効率が期待できるが、増幅率が2倍高くなるため、クロストーク、消費電力も2倍以上増加する。最終的に、消費電力を抑制する観点から50ミクロンの増幅セルを選択した。半導体光電子増倍素子で発生した熱は、熱伝導性のよい接着剤で半導体光電子増倍素子用電子基板に取り付けられたヒートシンクで排熱される。そのため、電子基板にも約1 W/m/Kの熱伝導性を持つ基板素材を採用している。小口径望遠鏡カメラの設計を確定したした後、2023年に組み立てる予定のエンジニアリングカメラ(今後42台制作するカメラの初号機となる予定)の部品の調達を速やかに開始した。半導体光電子増倍素子やそのバイアス回路を実装したモジュール納期は、通常6ヶ月から8ヶ月程度であるが、熱伝導性のよい基板素材の供給が逼迫しているため、納期が15ヶ月に延長された。 並行して、半導体光電子増倍素子の初期不良率や寿命を測定する試験装置や手法を確立した。この試験では、高温、高湿度の環境下における高電流での加速劣化試験を実施する。加速劣化試験用の基板を試作し、予備試験を繰り返すことで、試験基板を設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度から初号機による試験観測を開始するすには、2022年度中にカメラの組み立てが半工程ほど完了してる予定であったが、半導体、電子回路関連の資材不足により、全体として部品の製造工程に遅れが発生しており、部品を調達までしか進んでいない。そのため、2022年度は初号機のカメラ製作に取りかかれておらず、2023年度中に試験観測を開始する予定を達成するのは困難となってきた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には小口径望遠鏡の初号機の1/8カメラの組み立てを完了し、その性能を検証する。カメラの組み立ての際は、性能検証や較正をする必要があるため、その手法を確立する。引き続き、2024年度中にカメラの組み立てを完了し、試験観測を開始する。試験観測では、現地較正手法の確立や月夜観測における検出器性能の評価に取り組む。月夜観測では、月の満ち欠けの具合や、観測天体と月の間の角度に依存した性能劣化を測定し、月夜観測における感度予想計算の基礎資料とする。
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