研究課題/領域番号 |
21H04470
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2024) 京都大学 (2021) |
研究代表者 |
藤井 俊博 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50706877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,950千円 (直接経費: 31,500千円、間接経費: 9,450千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2022年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 宇宙線 / 極高エネルギー / 大気蛍光 / 質量組成 / 宇宙線観測 / 化学組成 / スペクトル |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙空間から地球に降り注ぐ放射線「宇宙線」には、地球最大の粒子加速器での到達エネルギーを凌駕する10の20乗電子ボルトという莫大なエネルギーを持つ宇宙線が存在している。しかし、この巨視的なエネルギーを持つ宇宙線の起源・加速機構は明らかになっていない。本研究では宇宙線の起源・加速機構の解明を目指し、極高エネルギー宇宙線天文学を開拓するため、低コスト型の新型大気蛍光望遠鏡アレイを開発する。
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研究実績の概要 |
宇宙空間で最も高いエネルギーを持つ「極高エネルギー宇宙線」は、爆発的な天体物理現象による加速か、もしくは標準模型を超えた物理を起源に持つと考えられているが、これまでの研究で起源・加速機構については未だ明らかになっていない。現在の世界最高感度を一桁更新し、極高エネルギー宇宙線天文学の開拓する将来計画へ向けて、極高エネルギー宇宙線観測に特化した低コスト型の新型大気蛍光望遠鏡アレイを開発することが本研究課題の目的である。 これまでの研究で、南北半球で極高エネルギー宇宙線観測を続けているテレスコープアレイ実験 (TA)とピエールオージェ観測所(Auger)に、小型(1.6 m直径)の光学系と4本の大口径(20 cm直径)光電子増倍管からなる低コスト型の新型大気蛍光望遠鏡を合計4基設置した。本年度は、TAとAugerに設置した望遠鏡を使って遠隔操作によるデータ収集析を継続しながら、Augerへの2基目の望遠鏡の設置準備を進めた。まず、実験室にて新型大気蛍光望遠鏡のカメラを構成する光電子増倍管と波形収集回路の統合試験を実施した。光電子増倍管の基本性能評価では、標準光源を用いたゲインの絶対値および印加電圧依存性を測定し、光源をロボットアームで動かすことで入射位置と入射角ごとのゲインの非一様性を測定した。次に、将来計画を見据えて、低コスト化と省電力化を目指して独自に開発を進めている波形収集回路を製作した。また、データ解析では機械学習を使った新たな解析手法の開発を進めており、学習手法の最適化・高速化を実現した。さらには、3地点に望遠鏡アレイとして設置したときの極高エネルギー宇宙線のエネルギーおよび質量組成に感度の高い最大発達深さの再構成精度を評価し、将来計画に必要な精度を持つことを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルゼンチンの2基目の設置へ向けて光電子増倍菅の性能評価が進んでおり、ソーラーパネルとバッテリーを使った自律稼働へ向けた新型エレクトロニクスの製作も進んでいる。データ解析においては、3地点に設置した場合の性能評価を機械学習を用いた手法を新たに開発した。新型コロナウイルスの影響により設置は予定より遅れているものの、それを除けば概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの状況を確認しながらピエールオージェ観測の2基目の望遠鏡の設置を進めていく。毎月開催している共同研究者とのオンライン会議を継続し、またアルゼンチン現地の人や共同研究者と密な連絡をとりつつ、設置へ向けた準備を今後も進めていく。
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