研究課題/領域番号 |
21H04479
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
平山 賀一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30391733)
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研究分担者 |
向井 もも 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (10823726)
宮武 宇也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究員 (50190799)
渡邉 裕 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50353363)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2022年度: 15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2021年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
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キーワード | 実験核物理 / 元素合成 / レーザー核分光 / 精密質量測定 / 崩壊核分光 / 国際情報交換 / フィンランド / アメリカ / ベルギー / 質量測定 |
研究開始時の研究の概要 |
重元素合成の爆発的天体環境を理解するために、r過程時に生成される中性子魔法数N=126近傍、原子番号Z=70-78領域の核分光実験が不可欠である。この未知原子核の飛躍的な生成量増大が期待できるドーナツ型低温ヘリウムRFガスセルを新規に開発し、この領域の未知原子核を高効率で生成可能な多核子移行原子核反応と組合せて、これまで展開してきたβ崩壊核分光、精密質量測定、精密レーザー核分光による核分光実験を加速する。これにより重元素の起源となる爆発的天体環境の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
金、ウラン等の重元素を合成する速い中性子捕獲過程の起源となる天体環境の解明を目指し、中性子魔法数N=126近傍核の精密核分光実験を実施した。並行して短寿命核の収量増大を実現するドーナツ型低温ヘリウムRFガスセルの試験および、これを格納可能な大型真空槽の設計・製作・設置を行った。 昨年度に導入した新エキシマレーザーを用いた安定核レニウム同位体のレーザー共鳴イオン化試験を行い、予定の精度で分光可能なことを確認した。昨年度に採択された実験課題として、イリジウム薄膜を用いた多核子移行反応で短寿命核であるタングステン(190W)・レニウム同位体(191,192Re)のレーザー共鳴イオン化核分光を6・9月中旬にそれぞれ行った。現在、データを解析中である。タングステン標的を用いた短寿命核のハフニウム同位体(183,184Hf)のベータ・ガンマ崩壊核分光実験・精密質量測定を9月末に行い、現在、データ解析中である。 SSRI-pnsコラボレーションミーティング、RIBFユーザーミーティング、国際会議SMI2023、HYPERFINE2023、Nuclear Astrophysics with Stable Beams、ハワイ学会等にて、KISSで行ったレーザー核分光の結果、精密ベータ遅発ガンマ線核分光および精密質量測定の結果について発表した。またフィンランド国・ユバスキュラ大学にてJSPS Alumni seminarとして招待講演を行った(https://www.jsps-sto.com/event/jsps-alumni-seminar-acf-probing/)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たに用意したイリジウム標的および新規導入したエキシマレーザーを用いて、理化学研究所と共同開催している実験課題採択委員会にて採択されたレニウムおよびタングステン同位体のレーザー共鳴イオン化核分光実験、ハフニウム同位体の崩壊核分光実験・精密質量測定を実施した。このように未知中性子過剰核の多角的な核分光測定が着々と進んでいる。 ドーナツ型ヘリウムガスセルを使った精密質量測定の実験課題が新たにグレードAにて採択されたので、令和6年度に実験を行う予定である。 核分光実験と並行して、短寿命核の収量増大を目指してドーナツ型低温ヘリウムRFガスセル開発を行った。ドーナツ型低温ヘリウムRFガスセル開発として、RFワイヤーカーペット10基を製作し、RF試験をもとに必要なRF共振回路を製作した。このドーナツ型ヘリウムガスセルを格納する大型真空槽を完成させて、設置を完了させた。設置後、これまで同様にイオンビーム引き出しに支障がないことも確認した。 2024年2月にヘリウムガスセルを使ったN=126近傍核の精密質量測定実験を予定していたが、トラブルのため、9月に延期となった。
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今後の研究の推進方策 |
既存のアルゴンガスセルによるレーザー核分光、精密質量測定および崩壊核分光実験による系統的かつ多角的な核構造研究を引き続き進める。ヘリウムガスセルを使ったN=126近傍核の精密質量測定を令和6年9月に実施する予定である。それに向けて令和6年度前半はヘリウムガスセルのオフライン試験を重点的に実施する予定である。 タンタルおよびレニウム同位体のレーザー共鳴イオン化核分光実験、レニウム同位体の崩壊核分光実験を令和6年度後期に実施する予定である。 各種分光い実験で得られた結果を、投稿論文としてまとめて、発表する予定でいる。
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