研究課題/領域番号 |
21H04485
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
大谷 知行 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (50281663)
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研究分担者 |
鈴木 惇也 京都大学, 理学研究科, 助教 (90795014)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2023年度: 14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2021年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
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キーワード | CMB / 偏光観測 / ニュートリノ質量 / 超伝導検出器 / 宇宙マイクロ波背景放射 / ミリ波 / 偏光 / 超伝導 / MKID |
研究開始時の研究の概要 |
ニュートリノ質量の起源の探査は素粒子標準模型を超えた物理学の探究である。その有力な観測手段が宇宙マイクロ波背景放射(CMB)偏光の精密観測であり、大角度(>10度)と小角度(~0.1度)の両方で精度向上が求められる。本研究では、先行開発したCMB望遠鏡GroundBIRD、同サイトのQUIJOTE望遠鏡のデータを統合し、大角度スケールのCMB偏光観測を世界最多の8帯域で実現する。これにより、感度制限の主要因であった「前景放射」(銀河放射)の影響除去を図り、かつ、望遠鏡の同時較正と帯域間相関によるデータ統合解析法を確立し、ニュートリノ質量和測定の鍵を握る宇宙論パラメータτの測定展望を確認する。
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研究実績の概要 |
SRONから提供される焦点面検出器の本格稼働に向けて、2度の焦点面アップグレードを行った。まず、2021年夏期にSRON製150GHz帯用レンズ付き23画素ユニット、及び、レンズ付き4画素ユニットを新たに導入した。また、これらの検出信号のための読み出しシステムを新たに構築し、各センサーのノイズレベルを観測に必要なレベルまで低減するとともに、32チャンネルの周波数信号の同時取得に成功した。これを用いて 2日間の連続運転観測実験を行い、月からの信号検出に成功した。続いて、冬期にさらに性能改善したSRON製焦点面ユニット(レンズ付き23ピクセル、及び、レンズなし4ピクセル)を設置し、同じく月観測を実施して感度向上が実現していることを確認した。これらと並行してSRONにおいて、本格観測実験に向けた検出器製作を進めた。コロナ禍によるロックダウンのためにスケジュールはやや後ろ倒しになったが、2022年度中には製作が完了し、較正実験等を経て2022-2023年期に本格連続運転を開始できる見込みである。 これらと並行して、連続自動観測の本格的な実現に向けて準備を進めた。まず、連続自動運転のための準備として、GroundBIRD望遠鏡のアジマス角度の遠隔操作システムを構築したほか、チラー用の換気装置の設置、ドーム内の湿度を低減するための除湿機の稼働を進めた。また、パルスチューブ冷凍機にヘリウム漏れが見つかったため、ヘリウムガス用のチューブを交換した。さらに、天候に応じたドーム開閉を行うために、隣接する1.2mロボット望遠鏡システムStellaが定期的に発しているアラート情報などを読み込めるシステムを整備するとともに、高麗大の協力を得て雲の状態をモニターするためのIRカメラを設置した。以上、安全に自動連続観測を行うための準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト当初はコロナ禍の影響により進捗が遅れていたが、その間にも地道に準備を進め、最終目標の達成に向けた準備にたどり着いている。2021年度(一部、2022年度に繰り越し)に加えて2022年度分も含めた進捗となるが、自動運転のシステム構築後、遠隔操作の試験を繰り返して実績やノウハウを蓄積するとともに、SRON製の7ユニットの検出器アレイを完成させ、焦点面に搭載するところに至っている。2023年度の本観測の開始まであと一歩のところまで到達している。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に基盤を構築した遠隔操作システムと2022年度に完成直前にまで至った焦点面検出器を搭載した本体を用いて、本格観測の準備に取り掛かる。また、並行してデータ取得・蓄積のためのサーバーの導入準備を進めており、観測の実現とデータ解析に取り組む予定である。
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