研究課題/領域番号 |
21H04491
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒向 重行 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90533563)
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研究分担者 |
山本 泰生 静岡大学, 情報学部, 准教授 (30550793)
根來 均 日本大学, 理工学部, 教授 (30300891)
木邑 真理子 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 基礎科学特別研究員 (40879699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2024年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
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キーワード | 時間軸天文学 / 多波長観測 / 広視野サーベイ / 異常検知 / 高速観測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では木曽広視野動画カメラTomo-e Gozenが世界で唯一取得できる広視野かつ高頻度の測光ビッグデータに、オンライン異常検知法を主体としたデータ駆動型手法を導入することで、今まで見過ごされてきたhoursからsub-secの時間スケールを持つ変動現象を探査する。検出された変動パタンを天文学的に分類した後、科学的に興味深い現象に対して多波長の迅速な追観測を実施する。これにより太陽系天体、恒星フレア、原始惑星円盤、高エネルギーコンパクト天体と多岐に渡る科学成果が期待できる。本研究は、現代情報学による大胆な簡略化とデータ駆動型科学を天文学に深く導入させた新しい形の天文・情報分野間連携である。
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研究実績の概要 |
本年度は、Tomo-e Gozenが日々獲得する広視野動画の各フレームに検出される天体像を測光し、時間軸方向に関連付けることで大量の測光時系列データを得るソフトを開発した。また、取得したデータを格納するデータベースの構築と一部のデータを公開するシステムの開発を行った。オンサイトのデータ解析環境の整備を実施した。Tomo-e Gozenで観測した天体の短時間変動現象に関する論文を5本出版した。 前年度に提案した確率不等式に基づくデータ要約法 (Elastic Data Binning, EDB) を洗練化し、人工データに対する検出性能を評価した。区間集約近似 (Pairwise Aggregate Approximatin, PAA) に基づくデータ要約法 (SAX)や最新の索引に基づく異常検知法 (Matrix Profile) に比して、EDBは高い検出性能を示すことがわかった。次にフレア由来の突発パタンを検出する問題において、EDBの応用可能性を検証する課題に着手し、検出された突発パタンを可視化するビューアーを作成した。またウェーブレット変換に基づくノイズ除去の効用と深層学習に基づく異常検知法 (DeepAnt) の性能評価を行なった。 Tomo-e Gozenで観測したブラックホール2天体の解析を行い、これまで報告があった静穏期での明るさとほぼ一致することが確認できた。一方、同天体で過去に観測されたような可視光での明らかなフレア現象は Tomo-e Gozenの観測では見られなかった。現在、強度変動の上限値などを得るべく、時系列解析を行っている。全天X線監視装置MAXIで検出した突発現象をTomo-e Gozenで自動で即時追観測するシステムを開発し運用を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SINET6への接続工事の完了がSINET側の都合により2022年度に遅延したことにともない、測光時系列データのデータベースの構築は計画よりやや遅延している。一方、他の研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、測光時系列データのデータベースの構築と時系列データに対する高速かつ高信頼な異常検知法の開発を進める。また、Tomo-e GozenとMAXIの連携、およびNICERとの可視X線同時観測を実施する予定である。
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