研究課題
基盤研究(A)
天の川銀河中心領域(GC)から、1億度のX線高温プラズマや、ガンマ線のフェルミバブルが発見されている。これら激しい活動のエネルギー源への解明は、準相対論的粒子が鍵を握る。そこで、中性鉄の多重電離輝線をXRISM衛星で、非熱的制動放射をNuSTAR衛星で探索し、準相対論的粒子の空間分布、エネルギー総量、重イオン組成を決定する。将来のサーベイ観測のためデジタルX線SOIPIX素子を新開発する。
2023年9月7日 午前8:42 JSTにXRISMを打ち上げた.打ち上げは無事成功し,搭載検出器である,CCDカメラおよびカロリメータの立ち上げも無事に終了した.その後,初期観測を開始した.カロリメーターのゲートバルブの開放がうまくいかなかったものの,ゲートバルブには約 270 μm のBe窓が取り付けられており,全エネルギーバンドの有効面積の低下と,Be窓による軟X線の吸収で,観測は硬X線側のみに限られることとなった.本研究の対象である天の川銀河中心領域はもともと星間雲で軟X線側は吸収されており,ゲートバルブの開放がうまくいかなかったことによる観測に対するダメージは小さい.XRISMによる天の川銀河中心領域の観測は,2024/2/26から開始された.GC1: (l, b)=(359.9560, -0.045) 2024-02-26 00:40- (108 ksec),GC2a: (l, b)=(0.11, -0.09) 2024-02-29 10:00- (63 ksec) である.解析は年度末以降次年度にかけて実施する.デジタルX線SOIPIXの開発として,昨年度のシーケンサ部を開発を継続し,雛形となるRTLの開発を行った.開発したRTLをFPGAにダウンロードし,実際にX線SOIPIX素子の動作させることに成功した.宇宙用のセンサとして安全性のため高い電圧は望ましくない.低いバックバイアス電圧で厚い空乏層を実現するためには,高い比抵抗のSOIウェハの導入が必要である.そこで,FZプロセスによる7kΩcmの高比抵抗SOIウェハの導入を行った.
1: 当初の計画以上に進展している
2023/9/7にXRISM衛星を打ち上げることに成功した.その後,衛星システムおよび観測装置の立ち上げも順調に進み,初期観測を行った.ゲートバルブの開放には成功していないものの,革命的な分光性能が実現し,まずは成功と言ってよいだろう.3ポインティングを予定している銀河中心領域の一部の観測は終了した.カロリメータの高いエネルギー分解能による予想以上に高い精度のスペクトルの取得に成功した.目的の準相対論的イオンの検証への道のりは順調だと言える.もう一つの柱であるX線SOIPIX素子の開発も,難易度の高いシーケンサの開発にも着手し,RTLレベルで実センサの駆動に成功した.これも予想以上に進んでいると評価している.
XRISM衛星で3ポインティングを予定している銀河中心領域のうち,2ポインティングの観測は終了したので,次年度は,この観測を含め,残りの2箇所の観測も行い,詳細な解析を進める.XRISMに対するAO-1の公募では,G0.61+0.01を含む複数の観測提案を行った.採択されれば,本年度中に観測が行われる可能性もある.データが取得され次第,これも解析を行う.これにより,中性鉄KαLi構造による準相対論的陽子の存在の検証を行う.デジタルX線SOIPIXの開発としては,内蔵ADCは外部ADCに対して遜色のない分光性能を発揮することを示した.その論文を現在準備中であり,次年度に出版する.シーケンサ部のFPGA上のファームウェアの雛形の開発を今年度行った.次年度はこれを内蔵するための,仕様策定とファームウェアおよび回路・レイアウトの作成を行う予定である.
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