研究課題/領域番号 |
21H04496
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
和田 桂一 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (30261358)
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研究分担者 |
長尾 透 愛媛大学, 宇宙進化研究センター, 教授 (00508450)
岸本 真 京都産業大学, 理学部, 教授 (00733354)
上田 佳宏 京都大学, 理学研究科, 教授 (10290876)
中川 貴雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 専任教授 (20202210)
泉 拓磨 国立天文台, アルマプロジェクト, 准教授 (40792932)
岡本 崇 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50541893)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
39,260千円 (直接経費: 30,200千円、間接経費: 9,060千円)
2024年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2023年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2021年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 巨大ブラックホール / 多波長観測 / 輻射輸送計算 / 多相星間ガス / 輻射輸送 / 輻射流体 / 活動銀河核 / 理論シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
クェーサー等の活動銀河中心核(AGN)の構造は、長らく「遮蔽トーラス」を含む「現象論的描像」がパラダイムであった。しかし、この描像は物理的な裏付けが薄いなど根本的な問題があった。本研究では基礎物理過程に基づき、多次元輻射磁気流体計算を行い、全てのAGNの多波長観測に適用でき、AGNの宇宙論的進化も記述できる「新たなパラダイム」となるべき標準理論モデルを構築を目指す。 多次元輻射輸送計算による「擬似観測」によって、電波・赤外線からX線までの「全波長域」における最新観測による理論モデルの検証とモデルへのフィードバックを行う。
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研究実績の概要 |
アテルイII (国立天文台) および富岳等のスーパーコンピュータを用いた理論計算を行った。X線・電波・可視・赤外線における観測との比較、そのインプットとなる輻射流体計算による巨大ブラックホール周囲の星間ガス構造を調べた。本年度に行った主な研究テーマは以下である。 1. 巨大ブラックホールから0.1 pc以内に対する高空間分解能計算により、アウトフロー構造、ダスト昇華半径構造を明らかにし、nonLTE輻射輸送計算、赤外SED計算と反響マッピングによる構造解明やBLRスペクトル計算を行い、一部の結果をAstrophysical Journalで出版した。 2.X線スペクトル計算、偏光計算を行い、Circinus galaxy等の観測データと比較し、論文を出版した。 3. 輻射輸送計算コードSKIRTによる多波長擬似観測を行った。 特にCircinus galaxyの理論モデルを改良し、ALMAおよびJWSTによるCircinus galaxyの観測等と比較した。 4. 広輝線領域の時間変動の起源を探るため、高分解能輻射流体計算をもとに、電離ガス輻射輸送コードCloudyによるスペクトル計算を行った。 5. 粒子法(ASURA)を用いて、merger-driven AGNとアウトフローの関係を調べた。
これらの研究をポスドク研究員1名や分担者とともに行った。研究代表者・分担者、関連研究者で研究打ち合わせを鹿児島大学等で行った他、随時オンラインで研究代表者で議論を行った。AGN関連の国際会議(フランス・ニース)、研究機関での談話会等で研究成果の発表と議論を行った。日本天文学会年会等で国内の研究会でも発表を行った。2023年9月にEast AGN workshopを鹿児島大学で開催し、本研究テーマに関する議論を参加者と行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
X線から電波までの他波長域で、国際的な雑誌に多数の査読論文を出版した他、若手研究者を中心に成果を挙げている点、外国の研究者との共同研究がさまざまなテーマで進んでいる。例えば、ゲント大学(ベルギー)のグループで開発中のモンテカルロベースSKIRTコードを、ゲント大に滞在中の大学院生が改良し、われわれのAGN計算に適用し、出版した(Matsumoto et al. 2023)。 Science誌に、近傍AGNのALMA観測により、超巨大BHへ質量供給とフィードバック過程を世界で初めて明らかにした論文を発表した(Izumi et al.2023)。JWSTのプロポーザルが採択され、2024年夏の観測に向けた準備を行った(PI: 泉)。
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今後の研究の推進方策 |
最近傍AGNであるCircinus galaxyのALMA観測、今後はSKIRTコードによるAGN擬似観測と観測(近傍セイファート等)との比較を行う。また、2024年7月頃にJWSTによるCircinus galaxyのわれわれの提案観測が予定されており、画期的なデータが得られることが期待できる。これらのデータに合わせて、われわれの理論モデルもさらにブラッシュアップする。2024年度は最終年度なので、研究の総括と今後の科研費申請に向けた議論を行う。
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