研究課題/領域番号 |
21H04512
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
井田 茂 東京工業大学, 地球生命研究所, 教授 (60211736)
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研究分担者 |
兵頭 龍樹 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 国際トップヤングフェロー (20814693)
佐々木 貴教 京都大学, 理学研究科, 助教 (70614064)
玄田 英典 東京工業大学, 地球生命研究所, 教授 (90456260)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,210千円 (直接経費: 31,700千円、間接経費: 9,510千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 衛星形成 / 惑星形成 / 衛星探査 / 惑星探査 / 惑星科学 / 系外惑星科学 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系には小型岩石惑星(地球型)、巨大ガス惑星(木星型)、中型氷惑星(海王星型)という異なる型の惑星がある。木星や火星の衛星への探査計画や系外惑星の衛星観測など、太陽系内外の衛星のデータ拡充が今後期待されている。我々は世界で唯一、全ての型の惑星の衛星形成の理論研究を行ってきた経験から衛星系形成の本質は「固/液/気相が混在する周惑星円盤の相変化も伴う温度・力学進化であり、各相の組成の多様性が衛星系の多様性を生む」という着想を得た。本研究ではこの着想のもとに高精度数値計算を実施し、従来の円盤説、巨大衝突説、潮汐捕獲説を統一して全ての型の惑星の衛星形成の総合モデルを構築する。
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研究実績の概要 |
円盤の化学組成と相状態: 惑星は一般に中心から鉄、岩石、氷、大気の層構造を持ち、天体衝突で飛び出す物質の組成や相は、惑星や衝突天体の組成や質量により大きく変わる。 周惑星円盤の冷却、質量拡散、微粒子の凝縮: 周恒星円盤はH-Heガスが主成分で、それが形成途上の巨大ガス惑星に流入し、一時的に周惑星円盤を形成する。この周惑星蒸気円盤のモデルを、近年観測的に注目を浴びている白色矮星の惑星形成の問題に応用した。白色矮星は、太陽のような恒星の 化の果ての高密度コンパクト星であるが、数十%以上の白色矮星の光球面に岩石構成元素が観測されている。これは、星表面へ継続的に岩石物質を供給するコンパクトな岩石蒸気円盤が主星近傍に普遍的に存在することを示し、この円盤は主星から遠い軌道に生き残った惑星や小惑星が中心星に近づいて潮汐破壊されて形成されたと考えられている。観測の急進展を受けて研究計画の順番を変え、白色矮星の円盤モデルの構築を先に行った。その結果は英国の専門学術誌に発表した。
白色矮星の円盤モデルは観測データと比較検討でき、モデルの較正を行うことができる。周惑星円盤の組成および各成分の蒸発率を統一的に求めるために、様々な化学組成、質量の惑星に対して、蒸発や凝縮といった現実的な相変化を組み込んだ高精度衝突数値計算を、パラメータを変えて系統的に実行してきたが、今後、この白色矮星の円盤モデルで得た知見を逆に周惑星円盤に引き戻して議論を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
近年観測が急進展して注目を浴びている白色矮星のまわりの岩石蒸気・固体円盤の構築の第一歩を実行することができ、そのモデルをすでに英国の専門学術誌に発表することができ、観測研究者から大きな反響を得た。一方で、惑星に衝突する天体の組成の違いによって、どのような衝突円盤が惑星のまわりに形成されて、どのように衛星が形成されるのかについての衝突シミュレーションをまとめた論文は、すでに Nature Communications 誌に掲載されており、今後、そこに白色矮星円盤のシミュレーションで得た知見を加えることによって、さらなる理解が進むと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
JAXAの火星衛星のサンプルリターン探査機の打ち上げも近づいてきているので、白色矮星円盤の知見も導入しながら、火星の衛星、フォボス、ダイモスの形成プロセスの解明のためのシミュレーションにだんだんと力を注いでいきたいと考える。
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